アメリカのジェミソン・グリア通商代表部(USTR)代表は10月30日、トランプ氏と習近平国家主席が(米中貿易の)休戦に合意したものの、アメリカは依然として中国側の貿易合意履行状況に関する調査を継続する方針であると述べた。この調査は、将来的に中国からの輸入品に新たな関税を課す可能性を開くものである。
ブルームバーグの報道によると、グリア氏は10月24日に調査を開始し、北京が第1次トランプ政権中に締結した貿易協定を順守しているかどうかを審査しているという。
この動きは、トランプ大統領が中国共産党の習近平と会談する前に仕掛けた潜在的な交渉カードであるとの見方も出ている。
トランプ氏と習は韓国で行われた首脳会談の際、関税引き上げおよびレアアース輸出規制強化の計画を一時停止することで合意した。しかしグリア氏は30日、米FOXビジネスチャンネルのインタビューで、アメリカによる調査は引き続き進行中であることを明言した。
関税引き上げの余地を残す調査
ワシントンが301条項に基づく調査を継続する方針は、将来的にトランプ氏に重要な対中防衛手段を提供する可能性がある。もし習近平が最終的に合意を再び履行しなかった場合、アメリカはこの調査結果を根拠に北京に対して新たな報復関税を課すことができる。
この調査は1974年「通商法」第301条に基づいて実施しており、この条項は大統領に対し、不公正な貿易慣行を取る国からの輸入品に関税を課す権限を与えている。
農産物購入が焦点に
第1次トランプ政権中に北京と結んだ貿易協定では、中国はアメリカの農産物購入を大幅に拡大することを約束していた。しかし、この約束の履行状況が、今年に入って米中貿易摩擦再燃の火種の一つとなっている。
全米トウモロコシ生産者協会およびアメリカ大豆協会が2024年に委託した調査によれば、中国は2020年および2021年の両年において、800億ドル相当のアメリカ農産物を購入するという約束を「達成できなかった」としている。
ブルック・ロリンズ米農務長官によると、最新の協定において中国は再び、今後数年間で少なくとも8700万トンのアメリカ産大豆を購入することを約束したという。
分析筋は、アメリカが301条項調査の継続を明言したことについて、トランプ政権が中国共産党との交渉において慎重な姿勢を維持し、違約への警戒を強めている表れだと指摘している。
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