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ブラジル 最大規模ギャング掃討 64人死亡このうち警官4人殉職、国際サミット前に治安懸念

2025/10/29
更新: 2025/10/29

ブラジル・リオデジャネイロ州警察は、国際サミットを控えたリオで過去最大規模のギャング掃討作戦を実施し、犯罪組織の壊滅に乗り出した。銃撃戦やドローンによる攻撃が発生するなど治安悪化への懸念が高まる中、州政府はさらなる秩序維持対策を強化している。

リオ警察は10月28日(火)、地元最大勢力の犯罪組織「コマンド・ヴェルメーリョ(赤い司令部)」を標的とした過去最大規模のギャング掃討作戦をリオ市内の複数のスラム街で実施した。作戦は激しい銃撃戦を伴い、数時間に及ぶ戦闘の結果、少なくとも64人が死亡、81人が逮捕された。このうち警察官4人が殉職しており、社会に衝撃が広がっている。

スラム街で銃撃戦 ギャングは手製兵器で反撃  

作戦当日の早朝、リオのスラム街一帯では銃声が響き渡り、煙が立ち込めた。ギャングらは警察装甲車の進軍を阻止するため、道路上の車両に火を放ち、進路を封鎖した。  

警察が公表した映像によれば、犯罪組織側は銃器だけでなく、手榴弾を搭載した無人機(ドローン)も使用し、警察部隊を攻撃したという。一部の残党は近隣の森林地帯に逃走し、潜伏している。

クラウジオ・カストロ州知事は、今回の作戦に約2500人の警官を投入したことを明らかにした。国際空港周辺を含む複数地域で逮捕令状および捜索令状を執行し、麻薬組織およびマネーロンダリング活動の壊滅を図ったと述べた。  

知事はまた、「この作戦は麻薬テロリズムに対する断固たる闘いの意思を示すものである」と語った。

国際会議を目前に 治安への懸念高まる  

リオでは、世界市長気候サミット(C40)やウィリアム王子が主宰するアースショット賞(Earthshot Prize)授賞式など、世界的イベントの開催が間近に迫っている。これらは、11月にベレンで開かれる国連気候変動枠組み条約第30回締約国会議(COP30)の前段階となる。 

一方で、相次ぐ治安悪化が都市の国際的イメージを損ない、サミットおよび要人の安全確保に影響を及ぼす可能性が懸念されている。州政府は臨時に治安部隊を増強し、秩序維持への強い姿勢を示している。

貧困層の現実 社会統治の課題浮き彫りに  

リオのスラム街は山と海が入り組む地形に広がり、数百万人の貧困層が暮らす地域である。長年、犯罪組織が実効支配を強める中で治安は悪化し、警察の強硬的な掃討作戦に対しては「過剰な武力行使」との批判も絶えない。  

専門家は、武力のみでは問題の根源を断つことは困難であると指摘する。教育機会の拡充や経済的支援、社会改革を通じた長期的な改善こそが不可欠だとされている。

高杉