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ASEANサミット トランプ大統領が重要な鉱産と貿易協定を締結

2025/10/27
更新: 2025/10/27

アメリカと東南アジア諸国連合(ASEAN)の首脳会議が10月26日、マレーシアのクアラルンプールで開かれた。トランプ米大統領はマレーシア、カンボジア、タイ、ベトナムの4か国と貿易および重要鉱物分野での協定を相次いで締結した。トランプ大統領は中国共産党によるレアアース規制への対応として、重要鉱物分野でサプライチェーン多角化を推進する方針を示した。

ホワイトハウスの声明によると、トランプ大統領はマレーシア、カンボジアと相互貿易協定を締結し、タイおよびベトナムとは同様の協定枠組みに合意した。マレーシア、カンボジア、タイ三か国への関税率19%は維持されるが、一部品目で関税を撤廃。市場アクセスの拡大やサービス、デジタル貿易分野での自由化が盛り込まれた。

マレーシア

マレーシアとの間では、重要鉱物分野の協力強化に関する協定も締結。米国向けのレアアース輸出について禁止や数量制限を設けない方針が確認された。マレーシアは約1610万トンのレアアース資源を保有しており、原料輸出を制限する一方、国内での加工産業育成を進めている。

今月のロイター通信によれば、中共はマレーシアとレアアースの加工に関する交渉を進めている。

世界最大のレアアース採掘および加工国である中国は、レアアースの精製技術やレアアース製品の輸出規制をますます厳しくしている。その結果、世界中の製造業者は重要な鉱産資源の代替供給を求めて競争を繰り広げている。

タイ

トランプ氏がタイとの間では、重要鉱物の探査、採掘、精製、再利用に関する協力覚書(MOU)を締結。鉱物資源分野での投資促進を図るほか、タイは米国製品の約99%に適用されている関税を撤廃する。通信分野での外資規制を緩和し、自動車の安全・排出基準で米国の基準を受け入れる方針も盛り込まれた。両国は農業、エネルギー、航空分野でも新たな合意に向けた協議を継続している。

ベトナム

ベトナムとは、2024年に1230億ドル(約19兆円)に達した対米貿易黒字を是正するための枠組みに合意した。同国は米国製品の輸入を拡大し、貿易不均衡の是正に取り組む。

カンボジア

カンボジアは米国との間で相互貿易協定を締結。具体的な関税引き下げの内容は公表されていないが、米国製品の市場参入促進や非関税障壁の解消を進めることで合意した。

今回の合意では、4か国がいずれも労働基準と環境保護の強化を約束した。アメリカ政府は、中国のレアアース供給支配を背景に、東南アジア諸国との連携を通じて供給網の分散化を進める構えだ。

張婷