金価格の急騰が続いていた中、21日には相場が急落し、一時は1オンスあたり約300ドル下落して4100ドルの節目を割り込んだ。金融アナリストの間では、市場が調整局面に入ったとの見方や、欧州9か国首脳の最新声明によってロシアとウクライナの停戦に向けた動きが現実味を帯びたことが、金価格下落の主要因となったとの分析が広がっている。
10月21日、国際スポット金価格は急落し、取引時間中に一時1オンス=4082.03ドルまで下落、下落率は6.3%に達した。これは2013年4月以来最大の一日下落幅であり、前日に記録した史上最高値(1オンス=4381.52ドル)からほぼ300ドルの下落となる。
同日の取引では、国際スポット銀価格も最大8.7%下落し、1オンス=47.89ドルを付け、50ドルの節目を割り込んだ。
米東部時間21日午後3時時点で、国際スポット金価格は1オンス=4126.99ドルと前日比5.33%安となっている。
サクソバンク(Saxo Bank AS)の商品ストラテジスト、オレ・ハンセン氏は「ここ数日、市場参加者の様子見姿勢が強まり、調整と値固めに対する警戒感が浮上していた」とコメントした。
ブルームバーグのストラテジストは「現時点でETFの金保有残高は歴史的高水準には達していないものの、過去の例では上昇が過熱すると売りに転じるケースが多い。今後、アメリカ経済が予想以上に堅調であることが指標で示されれば、金価格の一段の下落につながる可能性がある」と分析している。
暗号資産・デジタル資産市場向けのニュースサイトBlockBeatsによると、上海黄金取引所の国際会員であるMKS PAMP SAの金属戦略責任者ニッキー・シールズ氏は「市場にはすでにバブルの兆しが鮮明に表れており、その主因は極端な買われ過ぎにある。今回の上昇局面はすでにピークに達しつつある」と警告した。同氏は、過去6週間で金価格が1千ドル上昇したことについて「金は明らかに割高であり、現在の価格はファンダメンタルズとかい離した水準にある」と指摘した。
中国の財経系メディア「販財経」は、英、仏、独、ウクライナなど欧州9か国の首脳が21日に発表したロシア・ウクライナ戦争に関する共同声明が、金価格急落の直接的な引き金となったとの見方を示している。声明は、停戦に向けた具体的な可能性が示されたものと解釈されている。
現地時間10月21日午前、英、仏、独、ウクライナなど9か国の首脳に加え、欧州委員会のフォンデアライエン委員長、欧州理事会のコスタ議長がウクライナ情勢に関する共同声明を発表した。
声明では「われわれはトランプ米大統領の『戦闘は直ちに停止すべきであり、現在の接触線を交渉の起点とすべきだ』との立場を断固支持する。国際的に認められた国境は武力で変更されてはならない」と明記された。
さらに「プーチン大統領が和平に応じる準備が整うまで、ロシアの経済および防衛産業に対する圧力を一層強化する必要がある」と強調し、「凍結されたロシアの主権資産を最大限活用し、ウクライナが必要とする資源を確保する措置を策定している」と述べている。
17日、トランプ氏はホワイトハウスでゼレンスキー大統領と会談後、両国は「現在の接触線を基準とする形で直ちに停戦すべきだ」と述べた。
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