2027年予定のアルテミス3号月面着陸計画がSpaceXの遅延で再入札へ。アメリカは企業間競争を加速させ、中国との宇宙開発レースがさらに激しくなっている。
アメリカのショーン・ダフィー運輸長官(NASA代理局長)は10月20日、イーロン・マスク氏率いる宇宙開発企業「スペースX(SpaceX)」の計画進行が、アメリカの月面再着陸スケジュールに遅れを生じさせているとして、「アルテミス3号(Artemis III)」任務の契約を再入札し、他の企業にも参加機会を与える方針を明らかにした。
ダフィー長官は同日、米経済専門チャンネルCNBCの番組「スクォーク・ボックス(Squawk Box)」のインタビューで、「我々は一つの企業をただ待つつもりはない。この計画を前進させ、中国との『第二次宇宙競争』に勝たねばならない。月に戻り、拠点を築く」と述べた。
また、20日に出演した米FOXニュースの番組「フォックス&フレンズ(Fox & Friends)」でも、「現在、再入札に向けた手続きを進めている。ブルー・オリジン(Blue Origin)のような企業が加わることになるだろうし、ほかにも複数の企業が参入する可能性がある」と語った。
ダフィー長官が言及したブルー・オリジンは、アマゾン創業者のジェフ・ベゾス氏が設立した米民間宇宙開発企業であり、SpaceXの主要な競合企業である。
さらに、ダフィー長官はFOXニュースの司会者に対し、「我々はアメリカ企業同士の間で宇宙開発競争を展開し、どの企業が最初に人類を月へ送り返すことができるかを競わせるつもりである」と述べた。
NASAの「アルテミス」計画は、数十億ドル規模に及ぶ巨額プロジェクトであり、アメリカの宇宙飛行士を再び月面に着陸させることを目的としている。一方、中国も2030年までに有人月面着陸を実現させる計画を推進しており、両国間での開発競争が激しさを増している。
「アルテミス3号」は2027年の実施を予定しており、SpaceXが開発する大型宇宙船「スターシップ(Starship)」を用いて行う計画である。しかし、ダフィー長官によれば、マスク氏率いるSpaceXの任務進行は当初の予定通りに進んでおらず、この遅れによりアメリカが他国に後れを取る恐れがあるという。
トランプ大統領は、自身の任期が終了する2029年1月までに本任務の成功を見届けたい考えを示している。ダフィー長官はFOXニュースで「SpaceXの進行は遅れている。そのため大統領は、アメリカが中国の計画に競り勝てるよう確実にしたいと考えている」と補足した。
SpaceXは今月初め、第11回目となる「スターシップ」試験ロケットの打ち上げを実施したが、これまでに複数回の打ち上げ失敗や爆発事故を起こしている。
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