中国の生理用ナプキンから、発がん性の可能性がある化学物質・チオ尿素が検出されたと中国メディア「新京報」が報じ、波紋を広げている。
報道によれば、消費者団体が市販の生理用ナプキンを検査機関に依頼したところ、著名ブランドの複数のサンプルから規定を大きく超えるチオ尿素が検出された。しかも「より安全で高品質」と宣伝されていた製品の一部からも、極めて高い濃度が確認されている。
チオ尿素は、国際がん研究機関(IARC)により「発がん性の可能性あり(グループ3)」に分類されている。長期間さらされると、甲状腺機能の低下や生殖機能の障害、肝臓への毒性など、人体に幅広い悪影響を及ぼす可能性がある。
実際に問題のナプキンを使い続けた女性からは、皮膚炎やかゆみ、アレルギー症状、生殖器の炎症といった被害が相次ぎ、少なくとも30人が甲状腺がんと診断されたと証言している。
問題のブランド「棉密碼(コットンコード)」は、中国のライブコマース界で絶大な影響力を持つインフルエンサー、辛巴(シンバ/本名・辛有志)さんが2017年に立ち上げたものだ。累計売上は33.3億元(約680億円)を超え、1千万人以上が利用しているとされる。
しかし、こうした問題は今回が初めてではない。中国では過去にも生理用品から有害物質が繰り返し検出されてきた。にもかかわらず業界は改善を怠り、企業も当局も「基準を満たしている」と強弁してきた。今回も棉密碼は「うちの製品は問題なし」と主張し続けており、地元当局も「合格」と結論づけている。

多くの消費者から体調不良や怒りの声が相次ぎ、検査機関からは動かぬ証拠が示され、メディアも危険性を報じている。しかしながら、公式発表ではなお「安全」とされる不可解な展開に、消費者の不信は一層深まっている。
命を守るはずの必需品が繰り返し有害物質に汚染される現実。いまでは「ナプキンは中国製というだけで避けたい」という声が若い世代を中心に広がり、香港や日本をはじめとする海外旅行先では外国製ナプキンを大量に買い込む中国人女性の姿もしばしば見られる。
改善されないまま繰り返される「またか」の現実。信頼を失った社会では、どんな「安全宣言」も空しく響くだけとなっているようだ。結局、身を守る手段は消費者自ら「中国製を避けること」しか残されていない。

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