国際協力機構(JICA)が発表した「アフリカ・ホームタウン」構想について、同機構は撤回する方針を固めた。背景には、ナイジェリア大統領府が「日本政府が若者向けに特別ビザを発行する」と発表し、複数の海外メディアがこれを報じたことで、国内に「実質的な移民受け入れではないか」との懸念が広がったことにある。
構想は8月21日、横浜市で開かれた第9回アフリカ開発会議(TICAD9)で発表された。木更津市、三条市、長井市、今治市が各国の「ホームタウン」に認定されたが、翌22日、ナイジェリア大統領府が公式サイトで「日本政府が特別ビザを発行する」とする声明を掲載。BBC News Pidginなど海外メディアも23日にこれを報じた。
外務省は25日になって「事業は自治体とアフリカ諸国の交流が目的であり、移民受け入れや特別査証発給は一切含まれない」と発表。JICAも同日公式サイトで「一部報道に移民推進と誤解される表現があったが事実ではない」と発表し、関係先に訂正を申し入れた。だが訂正が公表されたのは騒動が大きくなってからで、初動の遅れが国民の不信感を招いた。
今回の混乱について国民の間では、「外交の場で認識の齟齬が生じること自体が異常であり、日本政府の対応は外交的失敗だ」との批判が出ている。さらに、「人材交流」という名目が実質的な移民受け入れに直結するのではないかとの疑念も根強く、SNS上では「裏で移民政策を進めているのでは」との疑念も根強い。
複数の報道によると、抗議が殺到したことを受け、JICAは「アフリカ・ホームタウン」構想の撤回を決定する方向で調整している。近く正式に決定する見通しだ。
一方でJICAは、各国との国際交流は引き続き重要だとして、事業の内容を慎重に見直した上で、交流への支援は続けていきたいとしている。
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