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釧路市 太陽光発電を許可制へ 希少生物保護へ条例案提出

2025/09/04
更新: 2025/09/04

北海道釧路市は9月4日、出力10キロワット以上の事業用太陽光発電施設について、市全域で設置を許可制とする条例案を市議会に提出した。違反した事業者名の公表や、施設廃棄費用の積み立て義務も盛り込んでおり、2026年1月1日の施行を目指す。

条例案は、2025年6月に市が表明した「ノーモアメガソーラー宣言」を実効性あるものとするための具体策。国の再生可能エネルギー推進政策を背景に、市内の太陽光発電施設は2012年の25か所から2025年2月時点で561か所と22倍以上に急増。湿原の水系破壊やオジロワシの営巣地への影響を指摘する声が相次いでいる。

釧路湿原は日本最大級の湿地帯で、タンチョウをはじめとする希少な動植物の生息地として知られている。

条例では、タンチョウ、オジロワシ、キタサンショウウオ、チュウヒ、オオジシギの5種を「特定保全種」に指定。これらの絶滅危惧種に重大な影響を与える場合、環境影響評価の提出を義務付け、審査を経てからでないと設置は認めない方針だ。市街化調整区域は「特別保全区域」とされ、厳格な規制を適用する。

現在、事業者「日本エコロジー」は、環境省釧路湿原野生生物保護センター付近に約6600枚のパネルを設置する計画を進めるが、地元から強い反発を受けている。条例施行により、追加の調査費用や計画の見直しが求められ、事業の遅延や中止の可能性も浮上する。

釧路市は「再生可能エネルギーの推進と自然環境の保全の両立が不可欠」としており、今回の条例案は全国的にも注目されそうだ。

清川茜
エポックタイムズ記者。経済、金融と社会問題について執筆している。大学では日本語と経営学を専攻。