北海道は2日、釧路湿原周辺で進められている大規模な太陽光発電所の建設を巡り、事業者に対して法律で定められた許可を得ずに工事を進めていたとして、建設予定地のうち森林区域での工事中止を勧告した。
森林法では太陽光発電施設の建設で0.5ヘクタールを超える森林を開発する場合には知事の許可が必要と定められている。
8月末に道と釧路市が現地調査を行ったところ、事業者の「日本エコロジー」が許可の申請をせず0.86ヘクタールもの開発を行っていた。
道は2日、メガソーラーの設置工事について、日本エコロジーに対し口頭で工事中止を勧告したことを明らかにした。罰則は規定されていない。
日本エコロジーは、環境省釧路湿原野生生物保護センター付近の民有地におよそ6600枚のパネルが設置する計画を進めている。
釧路湿原は日本最大級の湿地帯で、タンチョウをはじめとする希少な動植物の生息地として知られる。
メガソーラーの建設事業を巡っては、湿原の生態系や野生生物への影響を懸念する声が相次いでいる。
アルピニストの野口健氏も20日までに「メガソーラーは犠牲があまりに大きすぎる」と投稿。野口氏のほか、実業家の前澤友作氏やタレントのつるの剛士氏、無所属で参院選に立候補したロックミュージシャンの世良公則氏、俳優・モデルの冨永愛氏らも相次ぎ建設に疑義を示している。
文科省の阿部文部科学相は先月26日の記者会見で、「開発が天然記念物の損壊や消失にならないように、釧路市教委が適切に指導してほしい」と語り、
現在、釧路市は希少生物の安全確保や環境保全の観点から、ソーラーパネル建設を制限するための許可制条例案を9月の議会に提出する予定で、パブリックコメントを募集している。
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