中国・湖北省宜昌市の観光スポット「西陵峡快楽谷」で8月26日、バンジージャンプ中の若い女性が40メートル以上の高さから墜落した。SNSに投稿された動画には血で赤く染まる川面が映り、「恐怖のバンジージャンプ」は瞬く間にトレンド入りした。しかし当局は「命に別状なし」「ロープは切れていない」と強調し、現場映像との矛盾が波紋を広げている。
中国メディアが目撃者の話として伝えたところでは、女性は2度目の跳ね上がりでロープが断裂し、手すりに激突した後、水中へ墜落したという。
問題の施設は、中国政府の格付けで上から2番目の「4A級観光地」に指定されている。高さ61メートルのジャンプ台は国内でも高く、料金は1人230元(約5千円)。長江三峡の渓谷を背景に人気を集めていた。
(事故当時の様子)
運営側は事故直後に「設備点検のため営業停止」と発表し、原因は「調査中」と説明。一方、中国メディアは近隣の商店主の話として「バックルが締められていなかった」と伝え、責任を利用者や係員に転嫁するかのような内容を報じている。当局は女性の容態について「命の別状はなし」と繰り返すばかりで、事故原因はいまだ不明だ。
この施設については、以前から「設備の老朽化」で苦情が寄せられていたにもかかわらず、監督部門が対応を怠っていたとの指摘もある。
業界関係者も「本来は500回ごとにロープ交換と強度確認テストが義務づけられているが、現場ではコスト削減のため点検や交換を怠り、規定を無視する施設も多い」とこぞって警告。ネット上では「事故ではなく責任放棄だ」「なぜ同じような事故が繰り返されるのか」「命を何だと思っているのか」と批判が殺到した。
各地でも類似の事故は後を絶たない。今月にも新疆の吊り橋でロープが切れ5人死亡・24人負傷、前年にも同橋で損傷が確認されていたが改善されず再び惨事となった。湖北省の別施設でも昨年にロープ不備で重傷者が出ている。統計によれば2024年に発生した大型遊具事故17件のうち7割が民営施設で起きている。

ロープや金具の欠陥、誤操作防止の不備、運営側の手順違反や点検不履行、係員の確認不足、利用者の誤操作。原因が何であれ確かなのは「命を預けた客に責任はない」ということだ。それを一言「不運」で片付けるにはあまりにむごい。
ネット上では「これが最初でも最後でもないだろう」という嘆きとともに、「自分は運が悪いから絶対にこんな運任せのアトラクションには乗らない」といった「誓い」の声も相次いだ。娯楽が一歩間違えば死と隣り合わせという現実に、多くの人が自分の身を重ねざるを得なかった。

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