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トランプ政権の戦略的思考 技術と資源で挑む米中競争の次なる舞台

2025/08/25
更新: 2025/08/25

中国共産党政権による地政学的影響力拡大や先端技術分野での競争に対抗するため、米国は最近、新たな政策措置や規制を打ち出した。半導体やAI技術、量子コンピューティングなど戦略的分野への投資制限や輸出管理が中心で、多くの専門家はこれを「米中間の新たな競争の幕開け」と位置付けている。

米中の経済・技術面でのデカップリングに向かう可能性が指摘されるなか、米国の一連の新たな動きはその傾向をさらに確実なものとしている。情報筋によれば、トランプ政権は「半導体法案」の資金配分を見直し、一部を国内での希少鉱物採掘や半導体サプライチェーン強化に振り向ける計画である。

また、同法案の支援手法も見直され、従来の「無償補助金方式」から「補助金と株式交換」のハイブリッド型へと改められた。これにより、米国内の生産基盤強化と技術独立の両立を図る狙いがあるとみられている。

米国がこうした二つの政策戦略をどのように活用し、中共による地政学・技術分野での競争にどう対処しようとしているのか。

まず資源戦略に注目すると、トランプ政権は「半導体法案」の資金のうち少なくとも20億ドルを、米国内での鉱物採掘およびサプライチェーン強化に充てることを検討しており、これは過去数十年間で米国防総省が実施する中で最大規模の調達戦略となる見込みだ。

例えば、コバルトは軍事備蓄に不可欠な戦略資源であり、軍用バッテリー技術、弾薬、ジェット機、磁石など多岐にわたる用途で利用される。このため国防総省は最大7500トンのコバルトを調達し、総額は最大5億ドルに達する可能性がある。

今回の調達は、世界の「非中国由来コバルト供給」の約6分の1に相当し、冷戦時代以来初めて米国がコバルトを大規模な戦略備蓄に組み込むことを意味する。

またトランプ政権は、もはや企業への単純な「無償補助」にとどまらず、投資リターンを重視する方針に転換している。具体的には、米国政府は「補助金と株式交換」による出資を検討しており、インテルの株式10%を取得する案も浮上している。

この方式は、将来的にTSMCやサムスンなど他の補助対象企業にも拡大される可能性があり、政府が企業の成長に直接参加しつつ、米国内での生産能力確保と技術優位性の維持を同時に狙う戦略である。

米国のこうした政策転換に加え、トランプ政権が打ち出した「投資を通じた関税優遇」の新たな秩序は、世界的な米国投資ブームを引き起こしている。例えば、米国における半導体工場の建設や電気自動車用バッテリーの製造拠点への投資が急増しており、これらはサプライチェーンの国内回帰と資源確保を同時に促進する事例といえる。

この二つの政策戦略の布陣からは、米国が「長期的視野に立った戦略的思考」において、資源安全保障を国家安全保障の中核課題として位置づけていることがうかがえる。同時に、米中の競争はテクノロジー分野にとどまらず、リチウム、コバルト、希土類などの戦略資源やサプライチェーンの主導権争いへと世界規模で拡大していることも明らかになっている。