出入国在留管理庁は、外国人が日本で起業や企業経営を行う際に必要な「経営・管理」ビザについて、取得要件の厳格化に向けた見直しを進めている。
現在は、事業所の確保のほか、「500万円以上の資本金」か「2人以上の常勤職員」のいずれかを満たすことなどを要件としているが、今後は要件を大幅に引き上げる方向で調整している。
見直し案では、資本金を現行の500万円から約3千万円に引き上げ、常勤職員1人以上の雇用を同時に義務付ける。これにより、事業の実態や経済貢献度を厳格に審査し、従来のようにいずれか一方の条件ではビザが認められない。
背景には、近年この制度を利用して、実態のない「ペーパーカンパニー」によってビザを取得するケースや、本来の経営・管理目的とは異なる使用例が相次いでいることがある。医療目的や実質的な移住手段としての利用が一部で問題視されており、国会でも制度の形骸化が取り上げられている。
また、日本の投資移民制度が他国と比較して要件が緩やかであることも見直しの一因となっている。たとえば、韓国では3千万円相当、シンガポールではおおむね1千万円以上の投資を求めており、日本の水準は国際的に見ても低いとの指摘がある。
さらに、出入国在留管理庁は、2025年7月から在留資格の更新時に経営活動の実績に関する詳細な説明資料の提出を義務付けるなど、すでに運用面でも審査の厳格化を進めている。
政府は、高度人材の受け入れやスタートアップ支援とのバランスを取りつつ、制度の信頼性を高めることを目的として、今後の改正作業を進める方針である。
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