トランプ米大統領がロシアと取引を行う第三国に対する「セカンダリー関税(第2次制裁関税)」の導入を表明したことについて、ロシア大統領府のペスコフ報道官は7月15日、「非常に重大な発言だ」との見解を示した。
ペスコフ氏は同日、トランプ氏の発言について記者団に問われ、「我々はアメリカで何が語られたのか、分析する時間が必要だ。プーチン大統領が必要と判断すれば、いずれコメントするだろう」と述べた。
この反応は、トランプ氏が14日に発表した新たな対ロ制裁案を受けたもの。トランプ氏はホワイトハウスでNATOのルッテ新事務総長を迎えた際の会見で、「今後50日以内にロシアがウクライナとの和平合意に応じなければ、ロシアと貿易を行う国々に追加関税を課す」と発言した。
「私はプーチン氏に失望している。2か月前には合意できると思っていたが、どうやらそうはならなかったようだ」と述べ、さらなる経済的孤立を狙った措置として、ロシアと取引のある第三国に最大100%の関税を課す可能性に言及した。
この制裁構想は、ロシアからエネルギーを輸入する国に最大500%の関税を課すとする別の法案とは異なる、新たな枠組みとされている。
トランプ氏は「合意がなければ非常にシンプルだ。50日以内に何もなければ関税は100%になる」と述べた。
こうした二次制裁は、過去にアメリカがベネズエラ産原油を購入した国々に対しても導入した前例がある。
「失望したが終わってはいない」プーチン氏との関係に含み
その後、トランプ氏はBBCのインタビューに応じ、「プーチン氏には失望しているが、まだ終わったわけではない」と語った。
ウクライナへの攻撃をやめさせるにはどうするのかと問われると、「今も取り組んでいるところだ。プーチン氏といい話し合いをするつもりだ。『いいぞ、もうすぐ合意に至りそうだな』と言った直後に、彼はまたキーウで建物を一つ破壊してしまうんだ」と述べ、停戦の困難さを示唆した。
ロシアはここ数週間、ウクライナの都市に対するミサイル・ドローン攻撃を強化しており、先週だけでも「シャヘド」ドローンとおとりドローン合わせて728機、ミサイル13発による一斉攻撃が確認されている。
ウクライナ支援継続 欧州が資金負担へ
トランプ大統領はまた、ウクライナへの追加軍事支援を欧州同盟国の資金で実施する方針を明らかにした。支援には、防空用のパトリオット・ミサイルシステムも含まれている。
ウクライナのゼレンスキー大統領は7月14日、Xへの投稿で、トランプ氏、ドイツ、ノルウェーによる支援に感謝の意を示した。
同氏は「ロシアの殺戮を止め、真の平和を実現し、安全を確保するために、人道的に可能なあらゆることをすべきだ。平和は力によってのみ達成される」と述べた。
また、「ロシアの戦争資金を断ち、軍需産業への供給を遮断することが不可欠だ」と強調し、「ウクライナは真の平和と安全に向けて誠実かつ効果的なすべてのステップを取る準備がある。問題はロシア側にある」と述べた。
これに対し、ペスコフ氏は翌15日、最近の兵器供与合意に言及し、「アメリカやNATO、EUの決定は、ウクライナ側にとって和平のシグナルではなく、戦争継続のシグナルと受け止められている」と反発した。
また、「ロシアは和平交渉の継続に前向きであり、次の協議のタイミングをウクライナ側からの連絡を待っている」と述べている。
EUは追加制裁を準備 ノルドストリーム取引禁止も視野
欧州諸国が武器供与でウクライナ支援を続ける中、EUもロシアへの新たな制裁パッケージの策定を進めている。
欧州委員会の外交担当カーヤ・カラス氏は7月15日、「制裁パッケージを提案しているが、一部加盟国の拒否権を乗り越えられるかどうかが鍵だ」と述べ、現在も調整が続いていることを明かした。
今回の案には、EU域内の事業者がロシアのノルドストリーム・ガスパイプラインに関して、直接・間接を問わず一切の取引を禁止する措置も含まれている。
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