12日のニューヨーク株式市場で、ダウ工業株30種平均は前週末の終値から一時1000ドルを超える急上昇を記録した。背景には、アメリカと中国が互いに課していた追加関税を大幅に引き下げることで合意したという、両国の共同声明の発表がある。市場では、長引く米中貿易摩擦による世界経済減速への懸念が後退し、投資家の買い注文が一気に膨らんだ形だ。
今回の合意は、10日から11日にかけてスイス・ジュネーブで開かれた米中閣僚級協議の成果である。アメリカのベッセント財務長官やグリア通商代表、中国の何立峰副首相らが出席し、両国が互いに発動していた関税率を大幅に引き下げることで一致した。具体的には、アメリカが中国製品に課していた関税を大幅に引き下げ、中国もアメリカ製品への関税を一時的に引き下げる内容となっている。今回の措置は90日間の暫定的なもので、今後も協議を継続する枠組みが設けられる。
この発表を受けて、ニューヨーク市場では米中の貿易摩擦が緩和されるとの期待が急速に高まった。これまで両国の対立が激化し、世界経済の先行きに対する不安が強まっていたが、今回の合意により当面のリスクが後退したと受け止められている。市場関係者からは、「両国経済や世界経済にとって非常に良いニュース」との声も上がっている。
なお、今回の関税引き下げのうち一部は90日間の停止措置とされており、今後の協議次第では再び関税が引き上げられる可能性もある。両国は引き続き経済・貿易問題について対話を続ける方針を示している。
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