世界平和統一家庭連合(旧統一教会)は4月7日、東京地方裁判所が3月25日に下した宗教法人の解散命令決定を不服として、正式に抗告したと発表した。
教団は、法人として刑事事件を起こしたことはなく、民事事件において不法行為が認定されたケースも2件にとどまると主張。2022年に岸田文雄首相(当時)が「民法上の不法行為も宗教法人法上の解散事由に該当する」との見解を示したことについても、「家庭連合を標的にした国家による宗教弾圧」であり、「憲法に違反する」と批判した。
また安倍晋三元首相の銃撃事件前(2020年・2021年)に全国の消費生活センターに寄せられた教団に関する相談件数は少数にとどまり、文部科学省が解散理由の一部として提出した民事裁判での敗訴判決も、いずれも11年以上前の献金などに関する事例であり、原告らが伝道された時期は平均して約32年前であると弁明している。
また教団は、2009年の「コンプライアンス宣言」以降、内部改革に取り組み、裁判件数や消費者庁への相談件数が減少したと説明し、今回の解散命令申立てには、「政治的意図や世論に迎合した不当な判断」であると反論。東京地裁の判断についても、教団側は「証拠裁判主義に反し、結論ありきである」と批判しており、判決の根拠とされた32件の民事裁判のうち過半数の原告が「拉致監禁や脱会強要」によって教団を離脱した元信者であることや、元信者の陳述書に「事実と異なる内容」が含まれていると指摘している。
さらに、教団は今回の決定が「国連自由権規約委員会による勧告に反するものであり、国際法に違反する可能性がある」としており、国内外で信徒に対する差別や嫌がらせが増えているとして「人権と生存権が脅かされている」と訴えた。
一方、文部科学省は、教団が過去に行った高額献金や霊感商法的手法に関して、社会的な問題が長年指摘されていたことを踏まえ、宗教法人法に基づき解散命令を請求しており、東京地裁もこれを妥当と判断した。司法の最終判断は、今後の高裁審で下される見通しである。
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