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ガザ北部でハマスに抗議するデモ 市民「戦争と支配にもう限界」

2025/03/27
更新: 2025/03/27

パレスチナ自治区ガザの北部で25日、戦争の終結とイスラム組織ハマスの統治に反対する大規模な抗議活動が行われた。これは2023年10月にイスラエルとハマスの戦闘が始まって以来、ガザ地区で確認された中では最大規模の反ハマスデモとみられる。戦闘開始から約1年半が経過し、住民の不満が表面化した形だ。

抗議はガザ北部ベイト・ラヒヤを中心に、少なくとも3か所で発生。数百人の市民が街頭に集まり「ハマスは退陣せよ」「我々は平和を求める」「子どもたちを守れ」と声を上げた。参加者の多くは男性で、一部は白旗を掲げて平和を訴え、戦争に反対するスローガンを掲げたプラカードを手にしていた。病院の前でも人々が集まり、黙って旗を振る姿が見られた。

参加した男性の一人、モハメドさん(仮名)は「誰が呼びかけたのかは知らないが、戦争をやめてほしいという気持ちで来た」と語った。彼は「ハマスの治安部隊とみられる人物が私服で群衆を解散させていた」とも話しており、安全上の理由から実名は避けた。

別の参加者マジディさん(仮名)は「もう耐えられない。ハマスが退けば状況が良くなるのなら、なぜ政権に固執するのか」と語った。

今回の抗議は、市民による自発的な動きとみられる。事前にSNSのTelegramなどで情報が拡散されており、特定の政党や団体が主導したとの明確な証拠はない。

ベイト・ラヒヤでの抗議から数時間後、ガザ北部のジャバリヤ難民キャンプでも同様の動きが広がった。参加者たちは「食べ物がない」と訴えながらタイヤを燃やし、怒りの声を上げた。南部の主要都市ハン・ユニスでも「ハマスを倒せ」と訴えるデモが行われた。いずれも映像がSNSで共有されている。

ハマスはこの抗議活動について公式なコメントを出していない。ただし、ハマスと関係のある一部メディアは「戦争終結を求める抗議」として写真や動画を報じたが、ハマスの退陣を求める声については触れていない。

戦争が始まって以来、ハマスに批判的な声はガザ内部でも増えているとされるが、公然と反対するデモは非常に珍しい。ハマスの統治下で、自由な言論や集会は強く制限されてきた。

ガザでは現在、深刻な人道危機が続いている。イスラエルは2日以降、ハマスによる人質解放が進まないことを理由に、支援物資の搬入を停止している。生活物資は不足し、住民は戦争による被害だけでなく、厳しい生活環境と政治的な抑圧にも苦しめられている。

イスラエル政府はこれまで、ガザの人々に対してハマスへの反対を呼びかけてきたが、強権支配の中で公然と声を上げることは困難だった。今回の抗議は依然として限定的な規模だが、ガザ内部で政治的な変化が始まりつつある可能性を示唆している。

陳霆