日本国内の手形・小切手決済システムの運用について、全国銀行協会は決済システムの運用を2027年に終了する方針を固めた。大手銀行なども順次手形などの発行を取りやめる予定で、手形や小切手の物理的な決済は段階的に廃止される見通しだ。
手形・小切手の決済システムは、企業間の取引や融資などで利用されてきた伝統的な支払い手段だ。これらの決済は「東京手形交換所」と「地方手形交換所」を通じて行われてきたが、2022年11月「電子交換所」が導入され、現在、全国銀行資金決済ネットワークが運営している。
政府の方針では、企業間の決済手段として利用されてきた手形と小切手は、2026年度末までに全面的な電子化を目指し、全国銀行協会の目標は2027年3月末までに電子交換所における手形・小切手の交換枚数をゼロにする。全国銀行協会(全銀協)は、手形や小切手の決済システム「電子交換所」の運用を2027年4月で終える方針を固めた。
運用終了の背景には、電子決済の急速な普及と、手形・小切手の利用件数の大幅な減少がある。
企業間の決済はインターネットバンキングや債権の記録や送金をネットワーク上で行う電子債権記録制度(でんさいネット)などのデジタル手段にシフトしており、手形や小切手の物理的な処理を維持する必要性が大幅に低下している。
金融機関の対応と移行措置
手形・小切手の廃止に伴い、金融機関は企業や個人向けの電子決済サービスの普及・拡大に注力している。特に大手銀行は、電子債権の活用やファクタリングサービスなど、従来の手形取引に代わる手段の提供を強化している。日本銀行も企業間取引のデジタル化推進を後押ししており、利用者への周知と円滑な移行を図る考えだ。
一方で、手形・小切手に依存してきた中小企業や特定の業界では、新しい決済手段への対応が課題となっており、特に地方の中小企業では、電子決済への移行に伴うシステム導入費用や業務の見直しが必要となるケースも多い。日本銀行と全銀ネットは、こうした企業向けに十分な説明と支援を行い、2027年4月までにスムーズな移行を実現させる方針だ。
懸念されるサイバー攻撃
近年、こうした電子決済の普及により、どんどん利便性は向上している。その一方で、サイバー攻撃の技術も日々進化しており、攻撃のリスクも高まっている。近年、増加しているゼロデイ攻撃(発見された脆弱性を解消するための対策が提供される前に行われるサイバー攻撃を指す)など未知の脅威に100%対応するのは困難と言え、潜在的な攻撃リスクとなっている。
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