三井住友フィナンシャルグループ(FG)は2025年3月4日、脱炭素を目指す金融機関の国際的な枠組み「ネットゼロ・バンキング・アライアンス(NZBA)」からの離脱を決定した。日本の金融機関としては初めての離脱となる。複数のメディアが報じた。
NZBAは、2021年4月に国際連合環境計画・金融イニシアティブ(UNEP FI)によって設立された枠組みで、加盟銀行は2050年までに投融資のポートフォリオ全体の温室効果ガス排出量を実質ゼロにすることを目指している。
ブルームバーグによると三井住友FGの広報担当者は、「2050年に投融資ポートフォリオ全体をネットゼロとする目標を独自に設定し取り組みを進めており、社内体制の整備・高度化も進んできていることから、NZBAへの加盟を継続せずとも独自に対応できる状況にある」と説明している。
トランプ大統領の就任が決まって以降、ゴールドマン・サックスやシティグループなどの米大手金融機関が相次いでNZBAからの脱退を決めている。米国では環境・社会・ガバナンス(ESG)に反対する動きが強まっている。
ロイター通信によると、アメリカにおいて、大手金融機関が数週間の期間でNZBAから相次いで脱退したのは共和党の政治家が「NZBAへの加盟、とりわけそれが化石燃料企業への融資削減につながる場合には反トラスト法(独占禁止法)に抵触する恐れがあると警告した」後で起きており、これも原因の一つとして捉えられている。
現在、日本からは三井住友FGの他、三菱UFJフィナンシャル・グループやみずほフィナンシャルグループ、野村ホールディングスなど6社がNZBAに加盟している。三井住友FGの脱退を受け、他の日本の金融機関も脱退を検討する可能性があると専門家は指摘している。
NZBAからの脱退が相次ぐことで、2050年ネットゼロ目標の実効性が疑問視される懸念があり、日本政府や金融庁が今後どのような指針を打ち出すかも重要となる。
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