パナソニックエナジー 脱中国依存を「第一目標」に 

2025/01/08
更新: 2025/01/08

1月6日、EV大手テスラのバッテリー供給を担うパナソニックエナジーは、アメリカ内でEV用バッテリーを生産するため、中国製品への依存を排除する計画を発表した。この方針は「第一目標」として掲げられている。

パナソニックエナジー・ノースアメリカの社長、アラン・スワン氏はロイターに対し、新たに発足するトランプ政権の政策に対応する中で、まず取り組むべきことは、「サプライチェーンの中国依存をなくす」と述べた。

また、「現在、中国のサプライヤーを一部利用しているものの、その割合は多くない。中国のサプライヤーへの依存を減らす計画を進めており、すでにそのプロセスは加速している」と語った。

パナソニックエナジーは米ネバダ州に工場を構えており、今年中にカンザス州に第2工場を開設する予定だ。

スワン氏によれば、アメリカ国内で生産されるバッテリーの原材料は、大多数をカナダを含む海外のサプライヤーから調達している。

スワン氏は、サプライチェーンの再構築に向けて「三本柱の戦略」を採用していると説明した。

ノースアメリカはアメリカのサプライヤーとの契約を進めるだけでなく、日本や韓国のサプライヤーがアメリカに工場を設立する支援も行っている。また、すでにアメリカ内で事業展開を計画しているサプライヤーを最大限活用する方針だ。

同社のコメントからは、中国製品に対する関税引き上げを掲げるトランプ氏の政策が、グローバル企業に製造工程の見直しを促している現状が浮き彫りになっている。

日本企業の脱中国化

トランプ氏は、世界からアメリカに輸入される商品に10%、中国製品には60%、カナダやメキシコからの輸入品には25%の関税を課すことを公約にしている。先月、ロイターはトランプ氏の政権移行チームが、バッテリー材料全般に対する関税を提案していると報じた。

パナソニックエナジーは、日本の大手電機メーカー、パナソニックの子会社であり、テスラや他の自動車メーカー向けにバッテリーを供給している。他の日本大手企業も、トランプ氏の2期目政権による不透明感、特に貿易政策に備えている。

日産やホンダといった自動車メーカーは、アメリカがメキシコからの輸入品に関税を課す場合、自社事業に影響が及ぶ可能性があると示唆している。メキシコは、これまでアメリカ市場に向けた低コスト生産・輸出の拠点となっていた。

重機メーカーのコマツは先月、米加間の貿易摩擦が鉱山機器事業に「深刻な打撃」を与える可能性を指摘した。

近年、日立製作所や三菱電機は、東南アジアへの生産拠点の分散を積極的に進めている。

帝国データバンクの調査によると、製造業においては事業統合や整理が進んでおり、生産拠点の再配置や東南アジアへの移転が加速しているという。化粧品業界では、中国市場の情勢悪化により戦略転換を迫られている。

2024年以来、上海市などの沿岸部では日本企業の数が減少している。特に上海市では約1千社、全体の1割を超える減少が見られた。