先の衆議院選挙で「手取りを増やす」というキャッチフレーズを掲げた国民民主党は、20代、30代の若者から支持を集めた。若者の多くが「手取りを増やしたい」と願う背景には、厳しい経済状況と将来への不安がある。
若者の経済的苦境
「手取り」とは、給与収入から所得税、住民税、社会保険料などを差し引いた後のお金で、「可処分所得」ともいい、自由に使えるお金を意味する。
現代の若者は、就職氷河期世代よりも低い収入に直面している。国税庁「令和 5 年分民間給与実態統計調査結果」によると、20代前半の平均年収は267万円で、20年以上前の1999年の就職氷河期世代の274万円を下回っている。
しかし、現在は税金や社会保険料の負担が増加し、物価も上昇しているため、実質的な可処分所得は減少している。さらに、大学生の約55%が奨学金を利用しており、卒業時に平均310万円の借金を抱えることになる。月々の返済額は約1万5千円で、15年間にわたって返済を続けなければならない。
「手取り増加」への切実な願い
若者が手取りの増加を望む理由は明確だ。代表的なものに次の4点が挙げられる。
1 )生活費の確保:物価高騰により、基本的な生活費の確保が困難になっている。
2 )奨学金返済:多くの若者が抱える奨学金返済の負担が重い。
3 )将来への不安:年金や社会保障制度の先行きが不透明で、将来への備えが必要。
4 )結婚・家族形成:結婚・子育ての経済的障壁。経済的理由が少子化の主要因となっている。
若者の願いに応える政策
いっぽう、若者の手取りを増やす政策には次のものがある。
1)税制改革:消費税や所得税の減税、社会保険料の軽減など
2)奨学金返還支援:企業による奨学金代理返還制度の導入促進
3)賃上げ促進税制:企業の賃上げを促進し、若者の給与増加につなげる
4)生活費の引き下げ:ガソリン代や電気代など、生活に直結する費用の引き下げ
5)定額減税:2024年6月から1年限定で実施される4万円の定額減税は、若者の手取り増加に直接寄与する
これらの政策を組み合わせることで、若者の「手取りを増やしたい」という願いに応え、経済的な不安を軽減し、将来への希望を持てる社会の実現につながる可能性がある。しかし、これら政策の実現には財政面での課題や社会全体のバランスを考慮する必要がある。長期的な視点で若者支援を行い、持続可能な社会を作ることが重要だ。
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