中国共産党(中共)政府は、今後10年間にわたって米国にさらに強気の姿勢をとると予想されている。これは、同政権が史上最速のペースで核兵器を増強していることが背景にあると、10月23日に公表された米国防情報局(DIA)の報告書が示している。
DIAの2024年版「核の課題」報告書によると、中国は現在500発以上の核弾頭を保有しており、2030年までには少なくとも1千発に達する見込みだ。この数値は、過去の国防総省の予測と一致している。
報告書は「中国は、米国との戦略的競争を見据え、史上最速かつ最も野心的な核戦力の増強と近代化を進めている」と述べている。
また、「今後10年間で新たなシステムを開発し、戦略や抑止力に組み込むことで、現状を不安定にする新たな能力を導入する可能性がある」と指摘している。
増加する核弾頭の多くは米本土を射程に収めるものと推定され、中国は地域での警告と抑止のために、小規模な核弾頭の能力も追求している。たとえば、DF-26(東風)中距離弾道ミサイルなど「戦域射程運搬システム」を増強していると報告している。2023年の中国軍事報告書によれば、DF-26の射程は約3千~4千キロで、グアムにも到達可能だとされている。
中共のロケット軍は、固体燃料や液体燃料を使用したサイロベース型ミサイルの増設、新たな移動式大陸間弾道ミサイル(ICBM)部隊の創設などを進めており、これが核戦力の増強の中心となると予想される。
報告書は最終的に、中共が「多様な核戦力」を目指し、「適度な規模でも、あるいは圧倒的な規模でも反撃できるようにして、相手に大きな損害を与える能力を持つ体制」を構築しようとしていると説明している。
「台湾に関する通常軍事作戦の失敗が政権の存続を脅かす場合、北京政府は核戦力の使用を考慮する可能性がある」と警告している。
2023年の国防総省報告書では、中国が台湾に対して攻撃を仕掛けた場合、米国の介入にどのように対応するかについても触れている。まず、中国人民解放軍(PLA)は「短期間の限定戦争で米軍の介入を遅らせ、阻止する」ことを試みるだろうと述べている。
紛争が長期化した場合、「PLAはサイバー空間や宇宙、核活動をエスカレートさせて早期終結を図るか、膠着状態に持ち込んで政治的な解決を目指す可能性がある」としている。
9月25日、中共は太平洋に向けてICBMを試射し、地域の国々に懸念を引き起こした。特に中共の外交同盟国であるキリバスでも警戒感が広がった。
米空軍長官フランク・ケンドール氏は、9月に開催された米空軍・宇宙軍協会(AFA)年次総会の基調講演で、中共の核戦力拡大がもたらす脅威について言及した。ケンドール氏は「中国の核兵器拡張は、戦略的トライアド(陸海空にまたがる核戦力)の重要性を再確認させるものである」と述べ、B-21爆撃機や「センティネル」ICBMプログラムが米国の抑止力において重要な役割を果たしていると強調した。
「センティネル」ICBMプログラムは、老朽化したミニットマンIII核ミサイルを新型ICBMに置き換える計画である。
また、フロシ米空軍最先任上級曹長は米空軍・宇宙軍協会年次総会の基調講演で、中国を「米国とその同盟国に対する組織的な脅威」と表現した。
中国の目標は「米国主導のルールに基づく世界秩序を、中共が主導する秩序に置き換えることだ」と述べた。
フロシ氏は中国軍と米軍は根本的に異なると強調した。
「PLAは中共の武装部隊であり、我々米軍が合衆国憲法を守るために忠誠を誓うのに対し、PLAは中共を守るために忠誠を誓う。中国人民や国を守るためではない」
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