米連邦最高裁判所、性自認による差別を禁止する新規則を一部の州でブロック

2024/08/18
更新: 2024/08/19

アメリカで今、学校などの教育環境の中で性的指向および性自認に基づく差別が禁止されるかどうかが法定で争われている。

問題になっている規則は、タイトルIXと呼ばれている「教育修正法の第IX編を指し、教育機関において性別に基づく差別を禁止するものだ。

米連邦最高裁判所は5対4の判決を下し、共和党が主導する10州において、連邦政府によるタイトルIX規則の部分的施行を却下した。

8月16日に下された判決で、最高裁判所はルイジアナ州と規則に異議を唱えた他の9州で全面的に規則を阻止した2つの下級裁判所の命令をそのまま維持した。

論争の中心には3つの条項があり、そのうちの1つは、教育環境における性別に基づく差別を禁止する既存の連邦法が、性的指向および性自認に基づく差別も禁止することを宣言している。

同規則は、性別に基づく代名詞やトイレ、更衣室、シャワーエリアなどの性別により分離される空間についても言及しており、学生が希望する代名詞で呼ばない場合、または性自認にそった施設の利用を認めない場合、学校や大学が連邦政府の補助金を失う可能性があることを明確にしている。

連邦政府は最高裁判所に対して、これらの命令を部分的に解除するよう求めた。これにより、3つの主要な条項を切り離し、その他の異議のない部分は施行されることになる。

4人の判事は規則の一部を発効させようとしたが、全法廷は、性自認を含む「性に基づく差別」の再定義や、性別で分離される空間の維持に関する制限など、連邦政府が実施しようとしている重要な変更は阻止されたままであるべきだとの見解で一致した。

「全裁判官が本日、性的指向と性自認に基づく差別を含む性差別を新たに定義した中心的な規定を含む、規則の3つの規定に関して、仮差止命令を受ける権利があると認めました」と、裁判事団は署名なしの意見で述べた。

規則は8月1日に施行されたが、全米の半分以下の州でのみ適用されている。連邦裁判所は、法的異議申し立てが進行中の26州でこれを阻止している。

最高裁判所に持ち込まれた訴訟は、二つの州グループによるものであった。1つの訴訟は、ルイジアナ州、ミシシッピ州、モンタナ州、アイダホ州、および多数のルイジアナ州の学区によって提起された。

もう1つの訴訟は、テネシー州、ケンタッキー州、オハイオ州、インディアナ州、バージニア州、ウェストバージニア州、およびキリスト教教育者協会によって提起された。

ルイジアナ州のリズ・マリル司法長官は、この規則が連邦政府の越権行為であると指摘し、女性学生と職員の保護を侵害すると述べた。

「学校は今、行動や言葉遣いを変えなければならず、少女や女性のためのプライベートな空間を持てるかどうかも変わる」と同氏は訴訟を発表した際に述べた。「これは非常に侵襲的で単なる提案以上のものであり、彼らの法定権限をはるかに超えている」

一方、最高裁からの緊急救済を求める中で、米国司法省は、性自認に関係のない「数十」の条項も阻止されたため、下級裁判所の差し止め命令は「著しく広範」であると主張した。

「地区裁判所の差止命令は、性別差別から数百万の学生を保護するタイトルIXという重要な規則の数十の条項を実施することを妨げることになる」と、エリザベス・プレロガー法務官が要請書に書いた。

しかし、裁判所の多数派は、プレロガー氏が新しい規則の大部分を3つの異議申し立て条項から分離できることを示すことに失敗したと判断した。

「この限られた記録と緊急申請において、政府は違法である可能性が高いとされた3つの条項が規則の他の条項と絡み合い、影響を与えているという下級裁判所の暫定的な結論を覆すための十分な根拠をこの裁判所に提供していない」と判事団は書いている。

最高裁判所の4人の裁判官は、規則全体を阻止することに異議を唱えた。

「これらの差止命令は広範囲すぎる」と、ソニア・ソトマイヨール判事が部分的な反対意見で書き、エレナ・ケイガン、ニール・ゴーサッチ、ケタンジ・ブラウン・ジャクソン判事もこれに同意した。

「異議申立人たちが異議を申し立てたこともなく、異議申立人たちが主張する損害との関係も明らかでない数多くの規制の施行を政府が阻止することによって、下級裁判所は、ここで主張されている個別の損害を救済する権限を超えている」とソトマイヨール氏は述べた。

Bill Pan
エポックタイムズ記者