脳死と決めつける臓器提供 中国共産党が推奨する事例

2024/08/02
更新: 2024/08/02

6月13日、中国の武漢市にある同済医院の外傷外科主任である李占飛医師が、脳死と診断した患者から鼻カニューレ装置(酸素投与装置)を外し、臓器提供を勧めたことについて、患者の母親が公に抗議した動画がネット上で拡散し、国内外で大きな議論を巻き起こしている。

子を失った母親は李占飛医師に対して、「なぜ鼻カニューレを取り外したのか、脳死の判断はどのように下されたのか、脳死であれば臓器提供が可能だと言うのか」と何度も問い詰めた。問い詰められた李占飛医師は、病院のフロアで怒りをあらわにし、言葉を失い、最終的には感情的になって「出て行け!」と叫んだ。

これは、ただの医療上のトラブルを超えた、より深刻な問題であることがはっきりしている。

李占飛医師は、博士号を有し、主任医師でありながら教授職も務める同済医院の外傷外科の責任者である。動画に映る彼の感情的な振る舞いは、彼の地位にふさわしくないものであった。悲しみに暮れる母親は、彼に対して怒りをぶつけ、息子の命の尊さを訴えたが、李占飛医師はその場を急いで立ち去った。

28歳の青年が脳の外傷で同済医院の外傷外科に運ばれ、李占飛医師が担当した。治療の過程で、家族の了解を得ずに鼻カニューレが取り外され、「手遅れで脳死状態だ」と告げられた。その後、母親に息子の臓器提供が勧められた。

母親が語るには、息子の医療記録には自発的な呼吸があったと記されていた。しかし、後になって息子の心電図や葬儀場の情報、さらには保健委員会の執法隊に提出された供述記録は偽造されていたことが判明した。

20年前の似ているケース

この出来事は、2004年に山東省煙台市で起きた、52歳の法輪功学習者である賀秀玲さんが、山東毓璜頂(さんとう いくこうちょう)医院で生きたまま腎臓を摘出され、殺害された事件を彷彿とさせる。大紀元新聞に掲載された「死体が『涙を流す』のを見たことがありますか?」という記事には、次のような記述がある。「心電図の紙が数十センチ進んだ時、家族は波形が動いているのを目撃しました。賀さんの妹は、『見て!まだ心拍があるのに、なぜ遺体を安置所に運ぶのですか!』と叫んだのです」

「その言葉を聞いた医師は驚き、心電図の紙を引き裂いた。賀さんの家族がそれを取り戻そうとした際、医師は紙を持って逃げてしまったのです」

20年前、山東毓璜頂医院は法輪功学習者から生きたままで臓器を摘出し、その罪を隠蔽するために心電図を奪って、証拠を破壊した。それから20年後の現在、同済医院は患者がまだ心拍と呼吸をしているにもかかわらず、脳死と診断された事実を隠すために心電図を偽造している。20年が経っても、中国共産党による生きたままの臓器摘出を隠す偽造行為は、変わらずに続いている。変わったのは、被害者が法輪功学習者から一般市民へと広がり、「脳死による臓器提供」という新たな言い訳が生まれたことである。

動画に出てくる母親は、自分の息子の臓器収奪に加えて、外科の来ている他の患者の状態が変わるたびに、李占飛医師がその人の家族に患者が脳死であると伝え、陳維華医師と共に臓器提供を勧めていた事実を暴露している。

同済病院の創傷外科には、76床の病床があり、そのうち10床が集中治療室(ICU)となっている。この科では脳死の患者が多く、規模も大きいため、李占飛医師が推進する脳死による臓器提供活動が盛んで、外科から臓器移植センターへの提供例も少なくない。

インターネットでは、同病院のICUで臓器提供が行われ、成功したケースが増加しているとの報告がある。足を捻挫したり膝を痛めた若者、滑り台から落ちた子供であっても、若さと急性の外傷があれば、入院後に症状が悪化し、最終的にはICUで治療が困難と判断され、脳死と診断された場合には臓器提供が提案されることになる。これは「医療費の節約に寄与するだけでなく、大きな愛を実現することだ」ともされているという。

 

玉清心