中国共産党の情報支援部隊は名前だけの存在

2024/07/05
更新: 2024/07/05

中国共産党(中共)は、統合作戦におけるサイバー情報システムの役割を強化するため、「情報支援部隊」の新設を発表した。

しかし、専門家によると、中共は米軍のモデルを参考にしているものの、技術的には遅れがあり、実際の戦力としては不十分だとされている。

4月19日に発足したこの情報支援部隊は、「全く新しい戦略的兵種」と位置づけられており、異なる領域の作戦を統合し、火力や作戦支援、戦闘評価を統一することで、軍の総合的な作戦能力の向上を目指している。

台北の国家政策研究基金会の副研究員であり軍事アナリストの揭仲氏によると、中共の統合作戦は、台湾海峡や第一列島線を念頭に置いている。

揭仲氏は次のように述べた。

「中共が台湾近海で展開する情報に基づく現代的な合同作戦においては、情報が極めて重要な役割を果たしている。部隊の配置や部隊間での通信、敵の通信網を崩壊させる戦術、さらには外国軍への共同攻撃も含め、これらは全て情報システムに大きく依存している」

分析によると、米国は現在、世界で最も進んだ合同作戦のシステムを有しており、他国よりも優れているとされている。中共の軍事体系、理論、設計は多くが米国のそれを参考にしているが、技術面ではかなり遅れをとっている。

揭仲氏は「米国は中共が技術面で追い上げを図っていることを理解しており、経済や貿易の戦い、技術的な制裁を用いて中国の発展を遅らせることで、米国軍が10年から15年の技術的なリードを維持しようとしている」と述べた。

また台湾の国防安全研究院の沈明室所長はシステムの統合に関して、中共が他国のものを真似しても、米国のそれには及ばない可能性を指摘しており、とりわけ米国の先進的な半導体チップに対する技術制裁は、中共の先端技術を用いた兵器開発、特にサイバー戦争の能力に大きな打撃を与えると述べた。

さらに、中共が5月に実施した台湾周辺の軍事演習について、その戦術が機械化時代に留まっており、1990年の湾岸戦争当時の米軍の水準にも達していないと評価している。

中共の情報支援部隊は、2015年に創設された戦略支援部隊を前身としている。軍の改革を経て、兵科の構造を根本から見直し、戦略支援部隊を軍事航空、サイバー空間、情報支援の3つの部隊に分割した。

沈明室氏によれば、中共の軍制度はセクショナリズムが根強く、戦区ごとに相対的な独立性があるため、共同作戦の際には意思決定の遅れや効率性の問題が生じることになる。