最大規模29か国参加 環太平洋軍事演習で中国抑止

2024/07/02
更新: 2024/07/02

台湾海峡での緊張が高まる中、2年に一度開催される環太平洋軍事演習が6月27日に始まった。

今年は過去最大となる29か国が参加し、2万5千人を超える兵力が動員され、8月1日まで行われる。中国共産党(中共)は最近、台湾に対する脅威を強め、「台湾独立に関する22の条項」を発表し、死刑を含む厳しい処罰を可能にしている。

これに対し、アメリカ国務省は強い非難の声を上げている。

今回の演習は、29か国が参加し、40隻の艦船、3隻の潜水艦、14か国の陸軍部隊、150機を超える航空機、そして2万5千人を超える兵士が集結するなど、前回を上回る規模で実施している。

台湾の軍事情報を扱うFacebookページ「Taiwan ADIZ」によると、6月27日の朝9時頃、アメリカ空軍のE-3Bセントリー早期警戒機がバシー海峡を経由して台湾の南西空域に進入したと報じている。

台湾空軍の前副司令官である張延廷中将は、「環太平洋軍事演習が開始され、ハワイ周辺海域で実施している。最近、6月17日に中国とフィリピンの間で小さな軍事的衝突が発生し、アメリカはこれらの軍事動向に注目している」と述べている。

さらに、張延廷中将は中共が、戦略的な広範囲の偵察活動を行う可能性があるとの見解を示している。

中共は、台湾海峡の緊張をさらに高めるだけでなく、最近台湾に対する威嚇を重ね、「台湾独立分裂犯罪に関する意見」と呼ばれる22の条項を公表し、最悪の場合、死刑を適用する可能性があると発表した。

民主進歩党(民進党)の秘書長である林右昌氏は、「正直言って、これは全くの非現実的な話だ。中共のこの種の主張に従えば、台湾の国民が、自分たちの総統を選ぶ行為が、まるで全員が台湾独立を支持しているかのように見えてしまう」と批判した。

国民党の主席、朱立倫氏は、「中国本土は中華民国に対して、司法権を有しておらず、台湾の市民全員に対する司法権も及ばないのは自明の理だ」と明言した。

中共により繰り返される策略と脅威に対し、民主進歩党の報道官である呉崢氏が、これを厳しく批判した。

呉崢氏は、「これは台湾を香港のように変えようとする戦略の一部であり、中国が自国の刑法を利用して統一戦線と法的攻勢を進めていることを示している」と指摘した。

頼清徳総統が就任してから初めて、米中経済・安全保障問題再検討委員会(USCC)の代表団が台湾を訪問した。

頼清徳総統は、「中共は干渉を止めず、台湾海峡や南シナ海での軍事活動を強化し、外交的な圧力や経済的な脅迫、情報戦、法的攻勢を用いて、あいまいな領域での侵害を強め、地域の安定を脅かしている。台湾は責任を持って、対中関係をコントロールし、台湾海峡やインド太平洋地域の平和と安定を守るために努力している。さらに、国際社会は、中共が一方的に設けた『レッドライン』を受け入れるべきではない」

USCCのロビン・クリーブランド(Robin Cleveland)委員長は、以下のように述べている。「頼総統が台湾の指導者として就任してから、中共はより攻撃的な姿勢を見せているが、我々は台湾の立場を支持している。さらに、中共の侵略的な行動は、地域的な問題にとどまらず、世界中で問題となっていると、私たちは認識している。そのため、中共の行動を分析する際には、常に国際的な視点を持っている」

アメリカ議会の設立した米中経済・安全保障問題再検討委員会(USCC)は、アメリカと中国の経済・貿易関係や安全保障の状況を毎年評価し、その結果を報告書として議会に提出している。

中共が台湾の独立を抑止するために「22の措置」を打ち出したことに対して、アメリカ国務省の報道官は厳しい言葉でこれを非難した。

アメリカ国務省のミラー報道官は以下のように述べている。「我々は、中共の官僚たちが事態を悪化させ、安定を崩す行動をとることを強く批判している。我々は自己抑制を継続するよう求め、現状を勝手に変えないようにと呼びかけている。さらに、中共に対しては、台湾との意義深い対話を行うよう促している。脅迫や法的な圧力では、台湾海峡の問題を平和的に解決することは不可能だ」

中共は様々な方法で台湾に圧力をかけている。アメリカの高官はただ非難するだけでなく、実際に台湾を訪問して支援を表明し、さまざまな法律措置を通じて台湾との関係を強化している。

中共が「台湾独立の抑止」を目的とした22項目の措置を発表したことに対する反応として、中華民国(台湾)の大陸委員会(陸委会)は、中国本土への旅行警告を「オレンジ」レベルに3段階引き上げ、不要不急の渡航を控えるよう呼びかけている。

中華民国の行政院の陳世凱報道官は、以下のように述べている。

「中共による22条の措置は、手続きが極めて不透明で、内容も広範囲にわたっており不明確だ。行政院としては、国民に対して、中国への渡航をする際は、その必要性を慎重に考えるよう改めて呼びかけている。また、中国に滞在している国民には、ご自身の安全に十分注意していただきたいと思う」

また、陸委会は6月初旬に行われた記者会見で、台湾の団体旅行客が中国で旅行中に数日間拘束された事案があったことを公表した。