中国 泣く泣く、せっかく育てた作物を捨てる農家。

道端に大量に廃棄される農産物 価格急落でも売れない=中国 

2024/06/30
更新: 2024/07/01

中国では、不動産市場の低迷の長期化などを背景に国内の需要が停滞、野菜や果物、肉類の価格が大幅に下がるばかりか、売れずに大量に廃棄される状況に陥っている。

例えば、ブルーベリー。例年では500グラム当たり約4千円で売れていたのが、今年はわずか約180円と価格が大暴落している。

売れないがために、せっかく育てたスイカやトマトを泣く泣く道端に捨てていく農民たち。収穫されることなく、農園で腐っていく果物。「この現状をどうにかしてくれ!」と泣きながら訴える農家…中国のSNS上にはそのような悲痛な叫びがあふれている。

(トマトを段ボール箱ごと棄てる農家)

 

例えば今月24日、山東省のあるスイカの卸売市場で撮影された動画のなかには、どこまでも続く、スイカを積んだトラックの姿があった。しかし、スイカはほとんど売れないという。

撮影者の女性は、「山東のスイカは出来すぎた。例年では最低でも500グラム当たり10円ほどで売れていたのに、今年は2円だ、それでも誰も買わない。スイカ農家は夜が明ける前からここに来ている、本当に可哀そうだ。こんな苦しい生活、いつになったら終わりがくるのか」と嘆く。

(スイカの卸売市場、2024年6月24日、山東省)

 

中国メディアによると、消費の落ち込みにより、河南省許昌市のスイカ市場は深刻な低迷状態で、価格が急落するなか、農家は高温と蚊に刺されるのを我慢し、昼も夜も(スイカを載せた)トラックのそばで粘り、トラック1台分のスイカを売るのに数日もかかるという。

スイカに限らず、ドリアンやサクランボなどの果物も価格が下落し、牛肉の価格が豚肉に近い水準まで下落している。

SNSには「販売価格があまりに低いため、収穫をするためにかかるコストすら回収できない。そのため、いっそのこと、収穫しないで、そのまま果樹園のなかで腐らせている」という農家も多い。

このほど、中国メディア「海報新聞」が卸売業者の話を引用して報じたところによると、新鮮な牛肉の価格は昨年同期に比べ500グラム当たり約220円ほど下落しているという。

近頃、北京では新鮮な牛もも肉は500グラムで680円だ。

浙江省杭州市で業界歴数十年という商人も「最近のような牛肉の値下がり現象はこれまでに見たことがない」と中国メディアに語っており、中国の食肉関係業界団体である中国肉類協会は、「現在、低級・中級の肉牛農家の約70%がすでに赤字の状況にある」と推測している。

「牛を飼育すれば1頭あたり約11万円元の損失を被る」「白菜500グラムで2円だ。豚肉も500グラムで88円、神よ、これじゃ生きていけない」などと涙ながらに訴える農家の声がSNSに溢れている。

 

(「白菜500グラムで2円だ、豚肉も500グラムで88円、神よ、これじゃ生きていけない」などと涙ながらに訴える農家)

 

李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!