今年になってから、中国各地で高温と干ばつに見舞われるなか、山東省臨沂(リンイー)市の沂蒙(イーモン)地区に住む村民による龍王さまへの「雨ごい」を捉えた動画がSNSで拡散され、話題になっている。
この地区では半年近くも雨が降らない日照りが続いており、この深刻な日照りに直面している。そのため、土地や河は干上がり、作物は全滅した。井戸も枯れたため、村民は飲み水にも困っている状況だ。
そこで、村人たちは気温38度という猛暑のなか、雨を降らせようと「龍王」を祭る社「龍王廟」のなかで「龍王さま」に向かって跪き祈願をし、「雨乞い」の儀式を執り行った。
村民の「雨乞い」動画がSNSに拡散されると、「神様が怒っている」「やっぱり最後は神頼みしかないのか」といった不安や嘆きの声のほか、中共(中国共産党)当局が過去に散々お金をかけてやってきた「干ばつ対策」の効果のなさへの怒りも広がっている。
なお、雨乞い(あまごい)とは、かんばつが続いた際に神仏に祈り、雨を降らせるために行う呪術的・宗教的な儀礼のことである。
中国で「龍王(竜王)」といえば、天空の雲や雨を司り、水の動きを自在に操る神として畏れられ、また敬われてきた。
古来、干ばつに苦しむ中国の農民は、この「龍王」に祈願して降雨を求めたのである。また「龍王」は、海の神である「海竜王」とも呼ばれた。日本では「龍神」という言葉に語義が近いとされる。
昨年8月、北京を洪水が襲い甚大な被害をもたらした際、「龍王廟」だけが奇跡的に無傷だったことがわかった。その一方で周囲一帯は、洪水による泥や瓦礫であふれ、ほとんど廃墟と化していた。
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