中国では毎年、旧暦5月5日(2024年は6月10日)に伝統行事「端午節」が行われる。
疫病退散や厄除けなどの願いを込めて、この日には竜船(ドラゴンボート)レースのほか、屈原(くつげん)の故事にちなむ粽子(ちまき)を作って食べたり、菖蒲(しょうぶ)やヨモギを吊るしたりする。
また、家族の健康を願って薬草の蒼術(ソウジュツ)や白芷(ビャクシ)を燻し、雄黄酒(ゆうおうしゅ)を飲むなど、昔からこの文化習慣を大切にしてきた。
しかし、今年は「端午節」のメイン行事である「ドラゴンボート」に絡む事故が各地で相次ぎ発生し、死者も複数出ている。
「危険な実態」
重慶市で5日、練習していた女子ドラゴンボートチームのボートが転覆し、3人死亡した。このチームは3日後に開かれるドラゴンボート大会に参加する予定だった。
この事故は発生の4日後(6月9日)になってネットユーザーによる投稿で「初めて」明るみに出た。それから現地政府は、ようやく事故があったことを認め、レースが中止となった。
「現地政府がこの重大事件を意図的に隠蔽したのではないか」
とネット上で非難が殺到している。
事故により死亡した選手の遺族は、中国メディアに対し、
「事故の起きた船には救命設備もなく、事故発生時ライフジャケットを着用していなかった人も多かった」
と訴えている。
ドラゴンボートの舵取りは船長であり、操縦者でもある。しかし、事故が起きたチームの舵取りは「なんと、わずか2日習っただけの初心者であった」という恐るべき事実も明らかになった。
「事故の時、船には20人以上の女性が乗っていた、ボートがひっくり返りそうになった時、多くの人が水の中に飛び込んだが、最後まで船の上に留まった3、4人が転覆したボートの下敷きになった」と遺族は明かした。
重慶のドラゴンボート転覆事故について、福建省で長くドラゴンボートのコーチをしてきた大炳さんは、「舵取りになるのに、少なくとも1か月は訓練を受けなければならないし、選手は全員救命胴衣を着用しなければならない、ボートには救命浮輪などの救命具も積んでいないとダメだ」と指摘している。
しかし、事故のあったボートは上述3つの条件をいずれもクリアしていない。
重慶の事故に続き、8日にも湖北省黄岡市の黄梅県で、レース中にドラゴンボートが転覆し、1人が死亡した。
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