アメリカ司法省、反中絶団体を提訴 中絶サービス妨害の疑い

2024/05/23
更新: 2024/05/23

アメリカ司法省(DOJ)は5月20日、オハイオ州北区連邦裁判所において、「公民反中絶協会」(Citizens for a Pro-Life Society)、「レッドローズレスキュー」(Red Rose Rescue)および7名の個人を《クリニックへの自由なアクセス法》(FACE:Freedom of Access to Clinic Entrances. Act)違反の疑いで訴訟を起こしたと発表した。被告には、ワシントンD.C.で中絶診療所の妨害行為により約5年の懲役刑を受けたローレン・ハンディ(Lauren Handy)も含まれている。

訴訟によると、司法省はこれらの団体や個人が、暴力や脅迫、身体的妨害を用いて他者の中絶クリニック・サービスの利用を妨げたと指摘する。司法省は、被告の行為によりある診療所がその日の全ての予約をキャンセルし、別の診療所では抗議者が患者をつかんで中絶を阻止しようとしたと主張する。

「連邦および州法は生殖医療サービスの利用の権利を保護している」と北区のアメリカ検察官レベッカ・C・ルツコ(Rebecca C. Lutzko)氏は声明で述べた。「個人は、強制や脅迫、恐怖、身体的妨害を受けることなく、オハイオ州内の施設にアクセスし、医療提供者と相談し、自分の体、健康、未来について決定する権利を持つ」

「公民反中絶協会」のディレクター、モニカ・ミラー(Monica Miller)氏はFACE法の違反を否定し、抗議は平和的に行われており、診療所内で女性の行動を妨害していないと主張する。トーマス・モア協会(Thomas More Society)の弁護士は、被告の一人であるローレン・ハンディ氏を代表して、FACE法の合憲性に対する上訴を予定していると述べた。

ローレン・ハンディ氏は2020年10月22日にワシントンのサージ・クリニック(Surgi-Clinic:婦人科手術や中絶手術などを行う)で一群の活動家と共に通行を妨害したため、57ヶ月の懲役刑を言い渡された。ハンディ氏は権利侵害の共謀とFACE法違反で有罪となった。判事コリーン・コラー・コトリー(Colleen Kollar-Kotelly)氏は、法律は暴力や妨害行為を保護しないと述べた。

一方、トーマス・モア協会の上級法律顧問マーティン・キャノン(Martin Cannon)氏は、「ハンディ氏が無辜の未出生の赤ちゃんの命を平和的に守るために尽力していることに感謝すべきであり、苦しみを伴う監禁を受けるべきではない」と声明で述べている。

彼はまた「我々はハンディ氏の有罪判決に対して積極的に上訴し、この不公正の根源である『FACE法』を攻撃するつもりだ。この法案は憲法違反であり、平和的な反中絶活動家を迫害するために使われるべきではない」と付け加えた。

トーマス・モア協会のもう一人の弁護士スティーブ・クランプトン氏は声明で、検察官による事件の描写を「誇張されたもの」とし、57ヶ月の刑期は「誤判」であると述べている。「ハンディさんを知るにつれて、彼女が命を守る運動に対する強い情熱と非暴力への確固たる献身を間近で見ることができた」と彼は語る。

司法省は、生殖医療サービスのアクセス権を保護するためにFACE法の執行を続けると表明する。一方で、反中絶活動家は法律を通じてこの法の適用性を争い、抗議の権利を守るつもりである。

司法省はハンディさんの事件に関するコメント要請に応じなかった。また、公民反中絶協会とレッドローズレスキューからのコメントはまだ得られていない。

The Epoch Times上級記者。ジャーナリズム、マーケティング、コミュニケーション等の分野に精通している。