英アストラゼネカ社がCOVID-19ワクチンの世界的な承認整理を開始

2024/05/13
更新: 2024/05/16

アストラゼネカは最近、英国の裁判所の文書で、同社のワクチン接種が「非常にまれなケースで、血栓と血小板減少を引き起こす可能性がある」と認めた。

アストラゼネカは火曜日にCOVID-19ワクチンの世界的な承認整理を開始した。これは、深刻な副作用発生のまれなリスクを認めた数か月後、新しい変異株へ対応したワクチンに余剰が出たためだとしている。

同社のワクチン、バキスゼブリアは、3月5日にアストラゼネカが「医薬品市販承認」の撤回を求めた後、5月7日付けで欧州連合での承認が取り消された。

承認の取り消しは、アストラゼネカが英国の裁判所の文書で自社製のワクチンが「非常にまれなケースで」血栓や低い血小板を引き起こす可能性があることを認めた直後に行われた。これは、稀ではあるものの、血小板減少症を伴う血栓症(Thrombosis with Thrombocytopenia Syndrome: TTS)として知られる重篤な状態だ。同社は最初は因果関係を否定していた。

アストラゼネカは同件の承認が自らの決定に繋がったとは述べていない。今回の承認整理の決定は、現在「COVID-19ウイルスの新しい変異株に対応したワクチンの供給過剰のためだ」と述べた。 

アストラゼネカはエポックタイムズへの声明でこう述べている。「バキスゼブリアが世界的なパンデミックの終結に果たした役割に非常に誇りを持っている。独立した評価によれば、使用開始からわずか1年で650万人以上の命が救われ、世界中に30億回以上の投与が行われている」

「複数の変異種対応のCOVID-19ワクチンが開発されたため、使用可能な最新ワクチンが供給過剰になった。これによりバキスゼブリアへの需要が減少し、現在はもはや製造や供給が行われなくなっている。したがって、アストラゼネカは欧州でのバキスゼブリアの販売許可の取り消しを開始する決定を下した」

英国での集団訴訟

ウイルスベクターワクチンであるバキスゼブリアが、最初欧州連合で使用が認可されたのは2021年1月だった。

欧州での撤退は、数週間前の4月23日にアストラゼネカのワクチンがオーストラリア医薬品登録制度(ARTG)から削除されたことに続くものだ。

この削除は「企業のビジネス上の決定によるもので、海外で行われた類似のビジネス上の決定に続くこと」だとしている。

オーストラリアは、2021年にTSSの関連症例の証拠に基づいて、特定の年齢層向けの公式のCOVID-19予防接種推奨をアストラゼネカのワクチンから代替のワクチンに変更した。

アストラゼネカの認めた内容は、4月末に公表されたイギリスの高等裁判所の文書で2月から明らかになり、長期にわたるイギリスでの集団訴訟の法廷闘争によって明るみに出た。

伝えられるところによればこの訴訟では、アストラゼネカのワクチンによって、イギリスで数十件の健康被害と死亡が発生したと訴えられているという。50人以上がワクチンによる負傷をめぐって、アストラゼネカとワクチンメーカーであるインドのセラム研究所に対して、補償を求めている。

アストラゼネカはこれらの主張を否定したが、TTSのリスクは認めている。

製薬大手が責任を問われる場合、英国政府との合意により、英国の納税者がその訴訟解決にかかる請求金額を支払う必要がある。

アストラゼネカのワクチンは、以前にオランダでのワクチン接種による死亡報告や他の地域での有害事象の報告により、欧州の一部の国で一時的に停止されたことがある。

オーストラリアでも症例が確認されており、その中には1人の女優が含まれる。彼女はアストラゼネカ製のワクチンを接種した後、ワクチン誘発性TTSと診断され、それが生命を脅かす脳卒中につながり、ワクチン接種後、数週間で仕事ができなくなった。

欧州医薬品庁によれば、バキスゼブリアにはCOVID-19ウイルスそのものは含まれていないが、COVID-19の原因ウイルスであるSARS-CoV-2からタンパク質を作る遺伝子を含むように改変されたアデノウイルス科の別のウイルスからできている。

一般的に安全で効果的とされているが、バキスゼブリアワクチン接種後にTTSが報告された割合は、10万人あたり2〜3人程度だった。

一部の研究によれば、バキスゼブリアなどのCOVID-19のウイルスベクターワクチンは、mRNAベースのワクチンと比較してギラン・バレー症候群の発症リスクを3〜4倍に増加させる可能性がある。

※訂正:以下の通り訂正いたします(2024年5月16日)
旧表記(タイトル:英アストラゼネカ社がCOVID-19ワクチンの世界的な回収を開始)
新表記(タイトル:英アストラゼネカ社がCOVID-19ワクチンの世界的な承認整理を開始)

旧表記(アストラゼネカは火曜日にCOVID-19ワクチンの世界的な回収を開始した。)
新表記(アストラゼネカは火曜日にCOVID-19ワクチンの世界的な承認整理を開始した。)

旧表記(今回の回収の決定は、現在「COVID-19ウイルスの新しい変異株に対応したワクチンの供給過剰のためだ」と述べた。 )
新表記(今回の承認整理の決定は、現在「COVID-19ウイルスの新しい変異株に対応したワクチンの供給過剰のためだ」と述べた。 )

オーストラリアを拠点とするエポックタイムズ記者。