中国でも日本と同じ、5月の第2日曜日(5月12日)は、「母の日」だった。
しかし、この日、中国では、交通事故で死亡した女児・優優ちゃん(12歳)の母親と祖母は家族団らんどころではなく、葬儀社の前で横断幕を広げて、現地政府が「真相を隠蔽した」と抗議をしていた。
10日正午、江蘇省南通市の交差点で、小学生を満載したバスがトラックと衝突する交通事故が起きた。事故の原因は信号機の故障による誤作動だったという。
現地市民によると、事故が起きた交差点の信号は2日前から壊れていたが、現地当局はそれを放置した。その結果、悲惨な事故が起きた。
この事故により、優優(顧梓曦)ちゃんは即死だったと母親は訴えている。
その後、南通市当局による事故に関する通報では「負傷者は8人」とあった。しかし、現地市民によると、優優ちゃんのほかにも何人も子どもが亡くなっているという。
(葬儀社前で抗議の横断幕を広げる優優ちゃんの祖母と母親)
葬儀社前で抗議の横断幕を広げる祖母のそばには、優優ちゃんの母親もいた。母親は集まった市民に次のように訴えていた。
「事故の後、自分には電話1つかかって来なかった。SNSのグループチャットでわが子が事故に巻き込まれたことを知った。病院に駆け付けても、誰も真相を教えてくれなかった。子供が亡くなったことは看護師が教えてくれた」
「我が娘はそうして悲惨な事故に巻き込まれて亡くなった。しかし、学校側はすぐに私たち保護者に連絡しなかった。事故が起きて5時間経った後、私はようやく病院のなかで娘に会えた。この5時間の間、各政府部門は情報を封鎖していた。娘は即死だった。しかし当局の通報では、懸命な救助を行った末の死亡と書いてある」と訴えている。
「当局は真相を隠蔽したんだ」
母親は、病院のベッドに横たわる優優ちゃんの血まみれの写真をSNSに公開している。顔は変形し、口の中が血まみれなその様子に、見る人の心が痛んだ。
「娘を抱えてバスの中から連れ出してくれた市民の体には、娘の脳みそがびっしりと付いていた。娘の顔は半分なくなっていた」と母親は思い出したくない悲しい記憶を掘り返しては、繰り返し民衆に訴えていた。
優優ちゃんの悲惨な状況はSNSで拡散され、彼女の追悼会場には全国のネットユーザーからの花束や贈り物が積み上げられていた。
追悼会場の花束を映したSNS投稿動画には次のようなタイトルが付けられていた。「この花の海は、ただの追悼ではない。花束のひとつひとつが、当局の不作為と真相隠蔽に対する国民の告発なのだ」
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。