ベンツ、ガソリン車製造継続 EV移行遅れ受け

2024/05/10
更新: 2024/05/10

メルセデス・ベンツ・グループAGは、EVへのシフトにおいて、売上の伸び悩みを受けて目標を見直し、従来のガソリン車の生産を継続する方針である。

オラ・ケレニウス最高経営責任者(CEO)は8日の年次株主総会で「変革には当初の予想よりも長い時間が必要かもしれい」と述べた。

ベンツは2030年までに全ての新車をEVにするという目標を掲げていたが、ケレニウス氏によると、現時点で内燃機関の生産を中止する予定だ。

ケレニウス氏は「今後の年月にわたって、EVと最先端の電化技術を搭載した内燃機関車が共存するだろう。需要が続けば、2030年代も遠くない未来まで続く」と表明した。

この動きは、EQEやEQSといった高級EVの注文が、予想に届かなかったことを受けてのものだ。

ケレニウス氏は株主に、ベンツは「柔軟に対応できるように工場を整えている」と報告した。「この対応により、EVと内燃機関車を同時に生産し、市場の動向に素早く対応できます」と語った。

同氏は、会社は市場のどんな要求にも対応する準備ができていると強調し、「変革の速度には充電インフラの拡充など、多くの要因が影響する」と付け加えた。

ケレニウス氏は、同社は全ての駆動システムを最新の状態に保つとし、「最終的には顧客が選択する」と指摘した。

「お客様のどんなご要望にも応える、完璧なメルセデスを製造する」と表明した。

同社は、AMGの高性能モデル、EQS、GクラスSUV、マイバッハシリーズなどの最上位車種の販売を2026年までに最大60%増加させ、営業利益率を約14%に引き上げることに注力していく。

他社もEV販売減を報告

メルセデスだけでなく、他の自動車メーカーもEV戦略を見直す必要に迫られている。

今年に入って、フォードはEVの販売が続けて落ち込んでいる。4月下旬には、2024年第1四半期にEV部門で13億2千万ドル(約2054億7318万円)の損失を計上した一方で、ガソリン車部門では利益を上げていると報告した。

フォードは、EVの「Ford Model e」、ガソリンおよびハイブリッド車の「フォードブルー」、商用車の「フォードプロ」の3つのセグメントの収益を報告している。

第1四半期において、フォードブルーセグメントは9億500万ドル(約1408億4107万円)の利益を出し、フォードプロは30億ドル(約4668億2550万円)の利益を達成した。

同社によると、フォードは第1四半期間で2万223台のEVを販売したが、1台あたり6万5000ドル(約1011万 円)以上の損失を記録し、2023年に47億ドル(約7222億9906万円)の損失が発生した。

一方で、イーロン・マスク氏が率いるテスラは先月、前年同期比で収益が9%減少したことを受け、カリフォルニア州で3300人、テキサス州で2600人以上の従業員を削減すると発表した。

テスラは第1四半期に213億ドル(約3兆2292億円)の収益を報告し、これは前年の233億ドル(約3兆5945億円)から減少した。利益も25億1000万ドル(約3903億6524万円)から11億3000万ドル(約1710億8251万円)へと大きく減少した。

メモによると、マスク氏は会社の急激な成長により、一部の部門での役割や職務の重複が生じたと従業員に告げた。

同氏は「次の成長段階への準備として、コスト削減と生産性の向上を目指し、会社の全ての面を見直すことが非常に重要だ」とし、世界中の従業員数を10%以上削減する予定だと明かした。

この発表は、テスラが2024年第1四半期に38万6810台の車を納車したことを報告した後になされた。これは2023年の第4四半期から10万台減少し、前年比で販売数が下がった。納車数の減少は、新型コロナウイルス(私たち大紀元グループは「中共ウイルス」と呼んでいる)によるパンデミックが生産に大きな影響を与えた2020年以来の初めてだ。

ギャラップ社の最新の調査では、EVの購入に関心を示すアメリカ人が減っていることが分かった。EVを「真剣に検討」しているアメリカ人の割合は、2023年の12%から9%に低下している。