米ドナルド・トランプ前大統領の私邸から押収した機密文書が入った箱の中にある書類の順序が押収当時の状態と違っていたため、トランプ氏の弁護団は、公判の期限の延期やジャック・スミス特別検察官に対する制裁の要求も含む追加の申し立てを行おうとしている。
アイリーン・キャノン連邦地裁判事は5月6日、弁護側に追加答弁書の提出を許可した。双方は、弁護団側が機密文書についての訴訟に関する専門家の情報開示を提出する期限である5月9日が迫っていたため、検察側が裁判官に状況を誤って説明したと非難した。
検察側は書類の順序が違っていたことを認めている。
トランプ氏の弁護士は、「トランプ氏と弁護団は、この件で起訴されてから約11か月後にこのような事実を知り、深く悩んでいる」と表明した。
これを受け、キャノン裁判官は5月6日、機密文書についての公判を無期限延期とした。11月の米大統領選前の評決を目指していた司法省にとっては痛手となる。
ジャック・スミス氏は、2022年に米司法長官によりトランプ前大統領による機密文書持ち出しや2020年米大統領選後の米議会襲撃事件への関与疑惑の捜査を監督する特別検察官として任命された。
誰が書類の順序をずらした?
トランプ氏の弁護団は、検察が「証拠開示義務の遵守について虚偽の主張」をしていることが明らかになったと指摘。「証拠を(押収当時と)元のままに維持するという基本的な仕事を遂行することを信頼できないということは、我々には思いもよらなかった」と述べた。
検察側は押収当時と書類の順序が違っていたことについて明確な理由が説明できていない。
弁護団側は、このプロセスには「この刑事事件における証拠開示義務の指針となる憲法上、法令上、倫理上の保護措置が欠けている」と指摘した。
弁護団は、検察チームが押収品を元のままの状態にしておけないならば、合理的な裁判はできないと指摘した。
5月3日にこのことが発覚した後、トランプ氏の弁護団は、この問題に関連する資料を求めるディスカバリーレターを検察に提出した。
「マール・ア・ラーゴから押収した証拠の差し押さえを求めるトランプ氏の申し立てや、検察官の不正行為を受けての公判の棄却の申し立てに関係している」と弁護団は述べた。
弁護側は、この請求によって出される証拠開示に応じてスミス氏に対する制裁を求める予定であり、また「どの裁判でも中心的な争点となるであろう、この事件の重要な証拠をどのように押収し、どのように扱ったかを、事務所が信頼できる方法で証明できなければ」 公訴棄却の申し立てを行う可能性もあるとしている。
弁護団はまた、検察が「実行不可能な」裁判の期間を「繰り返し、不当に」要求してきたと主張し、検察の政治的動機の可能性について非難した。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。