韓国の公正取引委員会は中国発のECサイト「Temu」の調査に乗り出した。同委員会は、Temuが電子商取引法に基づく消費者保護義務や、虚偽・誇大広告に関する広告表示適正化法の規定に違反していないかどうかを調査する予定だ。
近年、AliExpress、SHEINとTemuに代表される中国の廉価なアパレル通販が欧米に進出し、韓国や日本などのアジア市場にも急速に影響力を拡大している。Temuは日本市場において、App Storeの無料アプリランキングで1位を獲得している(4月9日現在)。6日のTBS系番組「オールスター感謝祭’24春」放送中、TemuとコラボしたCMが放送され、物議を醸した。
昨年7月の韓国進出以来、Temuは新規会員獲得のためにキャッシュクーポンを発行するなどの戦略をとり、ルーレットゲームやマルチ商法を利用したことで論争を巻き起こしてきた。一方で、配送の遅れや品質の低さに対する消費者の不満が殺到している。
消費者院(消費者庁)によると、昨年、韓国が受けたトラブル相談は673件で、2022年(228件)の3倍だった。 今年に入り、先月末時点でAliExpressに対するクレームが352件に達している。
不正行為や偽造品
ECには不正行為や偽造品の問題も指摘されている。韓国公正取引委員会は、医薬品やわいせつ物、有害化学物質、未認証の電気製品や工業製品、刀剣類を含む15種類の商品のオンライン販売を禁止または制限しているが、中国の越境ECサイトではこれらの規制を無視した販売が行われている。
韓国税関のデータによると、昨年中国からの偽造品の押収件数は6.5万件に上り、前年比で8.3%の増加だった。押収品全体の中で、中国からの偽造品が96%を占めるという結果が出ている。
個人情報が中国共産党に漏洩
韓国政府は、こうしたECサイトが国内の中小企業や製造業の利益を侵害しているだけでなく、国民の個人情報を中国共産党政府に流していることを懸念している。
3日、韓国の個人情報保護委員会のコ・ハクス委員長は、「『Temu』と『AliExpress』などの中国系通販がユーザーのデータをどのように収集・利用しているかを注視している」と述べ、すでに調査を開始したと明らかにした。
中国では、中国国内の企業が政府にデータを提供することが法律で義務付けられている。「国家情報法」第7条により、全ての組織や個人は法に従って国家の情報活動を支援し、協力しなければならないとされている。
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各国、中国激安ECアプリを規制
コロナ禍以来、中国の激安ECサイトは世界各国で展開し、購買意欲を掻き立てる広告と巧みなSNS戦略で若者中心に顧客を獲得した。
韓国では、アリババのAliExpressとTemuに対する相次ぐ調査の後、関連する調査の範囲がすべての中国のECプラットフォームに拡大される可能性があると考えられている。
現地時間3月14日、フランス下院はファストファッションの環境への悪影響を懸念し、過剰消費を抑えることを目的とする法案を可決した。中国の激安通販サイトを念頭に置いた。
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米国では、「デミニミス」ルールによって、800ドル以下の個人宛小包は関税を免除されている。税関が精査することはない。
ウォール・ストリート・ジャーナル紙は4月6日、米国土安全保障省が、輸入品が米国の強制労働禁止法に違反していないかどうかの調査を含め、デミニミスが適用される荷物を厳しい精査の対象にすると述べたと報じた。
米下院対中共特別委員会のマイク・ギャラガー委員長は、2023年には約10億5000万個の貨物が「デミニミス」のルールで免税で米国に輸入され、これは「2022年より53%増えた」と述べた。
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