爆弾発言も今は昔… 全人代恒例の首相記者会見が突然、中止 党内に激しい内紛か=専門家

2024/03/04
更新: 2024/03/04

3月4日に中国共産党(中共)全国人民代表大会(全人代)の一環として行われた記者会見で婁勤儉(ろう・きんけん)報道官は、大会終了後の首相記者会見は行われず、今後数年間も行われないと発表した。

1990年代に始まった首相記者会見は、時折、一部の首相らの爆弾発言があり、ごく僅かではあるが一定の政治の透明性を示していた。

3月4日の昼に、中共第14回全国人民代表大会第2回会議の記者会見が北京で開催された。婁勤儉報道官は、国内外の記者からの質問に答え、「今年の第14回全国人民代表大会第2回会議の閉会後、首相の記者会見は行われず、特別な事情がない限り、今後数年間は首相の記者会見が開催されない予定だ」と述べた。

 今回の全国人民代表大会は、3月5日の午前に開幕し、3月11日の午後に閉幕する予定であり、会期は7日間となっており、その間、3回の全体会議が予定されている。

首相記者会見の慣習は、1991年に李鵬首相が中国大陸、香港、マカオ、台湾、および外国の記者を前にして質問に答えたことに由来する。

1993年以降、この記者会見は毎年の恒例行事となり、特に1998年に朱鎔基が首相に就任して以来、両会の焦点の一つとなっていた。

この変更に対し、中国問題の専門家や独立系評論家は、中国の政治が混乱し、共産党内での激しい内紛と自己矛盾の表れであると指摘する。

時事専門家の王赫氏は、首相記者会見が、共産党政権やその指導者がメディアとの接触を避けてきた中国の政治文化とは異なり、党首と首相の間の政治的バランスを示すために維持されてきた制度的な方法であったと述べた。

王氏は、首相会見の中止が習近平の意向によるものであり、習が自身の権力を強化し、他の高官との距離を置こうとしていることを示していると考えている。

また「首相記者会見が中止されたのは、決して小さなことではない。それは、現在の中国政局の混乱と習近平の政治的合理性の喪失を映し出している。中国政局は危険な方向に進んでいる」と述べた。

独立系時事評論家の蔡慎坤氏は3月4日、ソーシャルプラットフォームX上で、現在、中国政治は完全にブラックボックス化のモードに入っていると指摘している。実際には、李克強前首相が毎年両会終了後に行う記者会見は、習近平にとって非常に不快なことであったが、これは中国の改革開放以来数十年の慣習であり、政務の公開の一つの象徴でもあった。

元首相の温家宝と李克強は、首相記者会見でいずれも大胆な発言を行っていた。

2012年3月、温家宝は任期最後の記者会見で、政治改革を行わず、政治改革を成功させない場合、現在の社会問題は根治されず、文化大革命のような歴史的悲劇が再び起こる可能性があると明言した。政治改革が停滞または後退する場合、出口はないと述べた。

また2020年5月28日、李克強は中共第13回全国人民代表大会第3回会議終了後の首相記者会見で、現在の中国には月収が約1千人民元(約2万円)しかない6億人の人口がいると発表した。

この年、習近平が貧困から脱出したと表明したため、この李克強の発言は共産党内部の争いによるものだとの憶測を呼んだ。

しかし、2023年3月に首相に就任した李強は、中国の政治と社会の良い面だけを強調し、問題点を避ける発言をした。これは、中国の政治がより一層秘密主義と権威主義に傾いていることを示している。

寧海鐘
中国語大紀元の記者。
駱亜
中国語大紀元の記者、編集者。