第5世代戦闘機では中共軍を圧倒 西太平洋で史上最大の海空戦力が集結

2024/02/28
更新: 2024/02/28

米海軍にとって、もっとも任務配備が密集している地域は南シナ海フィリピン海、台湾海峡など、中国の周辺海域である可能性が高い。

紅海や地中海で激しい衝突が発生している現状でさえ、西太平洋の海域のように、これほど多くの米国の海空戦力を引きつけ、その傾向が強まり続けている地域はない。

これは、中国共産党(中共)の迅速な拡大と台湾への脅威がもたらす深刻な結果に対する、中共への強い警告である。

2月19日、米国のB-52H戦略爆撃機1機とフィリピンのFA-50戦闘機3機が南シナ海で共同巡回を実施した。このB-52爆撃機は、グアムのアンダーセン空軍基地に配備されており、フィリピンの排他的経済水域で特別任務巡回を行ったが、フィリピンには着陸しなかった。

実際2月以降、米海軍は地域のパートナーとの共同行動を続けている。1月31日には、カール・ビンソン空母打撃群、セオドア・ルーズベルト空母打撃群、および日本海上自衛隊の複数の艦船がフィリピン海で連合演習を実施した。

 2月15日、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦ジョン・フィンは、日本海上自衛隊の2隻のミサイル駆逐艦と南シナ海で二国間演習を行った。

2月17日から18日にかけて、アーレイ・バーク級ミサイル駆逐艦ハルゼー(DDG 97)は、日本海上自衛隊1隻の駆逐艦と豪州王立海軍1隻の護衛艦と共にベンガル湾で三国間演習を行った。

2月19日、ミサイル駆逐艦ハルゼーは、インドや他の50か国以上の海軍の艦船、航空機、人員と共にベンガル湾で「MILAN 2024」共同軍事演習に参加し、2月27日まで続けた。これは米国が2年に一度のMILAN演習に参加してから2度目であった。MILANはヒンディー語で「集結」を意味する。

MILAN 2024は、これまでで最も大規模な演習であり、港湾と海上の2つの段階を含み、参加する艦船は高度な戦術、機動、防空、潜水艦、共同海上補給、通信、射撃、共同戦場など、多岐にわたる分野に焦点を当てるものだ。 

これらの一連の海上行動の共通の目的は、抑止力を強化し、米国と地域パートナー海軍間の相互運用性を高め、緊急事態に対応するため戦闘準備状態を向上させることである。 

最近、米海軍は西太平洋への戦力の投入が目立ってきているが、引き続き強化する見込みだ。最新の報告によれば、米海軍の11隻の航空母艦のうち5隻は間もなく太平洋地域に同時に展開される可能性がある。その中で、空母カール・ヴィンソンとセオドア・ルーズベルトの2つの航空母艦打撃群は、フィリピン海で日本との軍事演習に参加している。

一方、空母ロナルド・レーガンは、日本の横須賀基地に停泊している。今後数か月以内にワシントン州ブレマートンのピュージェット・サウンド海軍造船所へメンテナンスに向かう予定であり、その間、空母レーガン米海軍第7艦隊の持つ中心的な役割を空母ジョージ・ワシントンに引き継ぐ。

米海軍研究所の船舶追跡者の報告によると、2月5日には、サンディエゴの母港から出発した空母エイブラハム・リンカーンも、今年太平洋地域で目撃されている。

この地域でこれほど打撃力を集結させるのは、米海軍にとって珍しい行動であり、中共と北朝鮮への警告と解釈される。同時に、アジアの同盟国に対して、米国の約束が真剣であることを示している。 

米国と同盟国が十分な数のF-35を展開できれば、少なくとも現時点で、中共が太平洋地域でいかなる形式の空中優位をも築くことは難しいだろう。

米国がフィリピンの軍事基地を大規模増強

米国がフィリピンの軍事基地を大規模に増強していることは、フィリピン国内の米国基地にF-35を配備する機会を増やし、フィリピン海周辺でのF-35Aの大規模展開の可能性を現実のものとしている。また、日本、韓国、シンガポールから発進するF-35Aも、予備選択肢として機能する。 

しかし、米国と同盟国にとって、最も信頼性が高く、決定的な影響力があるのは第5世代空中戦力である。海上で展開する可能性が高い。近年の米軍の行動経験から、F-35の垂直/短距離離着陸機型(F-35B)艦上機型(F-35C)を海上で運用する能力が、中共との全ての衝突において最も決定的な要素となるだろう。

日本の2隻のヘリコプター搭載護衛艦、「かが」と「いずも」のうち、「かが」はすでにF-35Bを搭載できる空母に改修されており、「いずも」も2027年までにF-35B搭載型への改修が完了する予定だ。それぞれ最大20機のF-35Bを搭載できる航空母艦を日本は2隻保有することになる。

米海軍のアメリカ級強襲揚陸艦も、20機以上のF-35Bの搭載が可能である。さらに影響力が大きいのは、ニミッツ級航空母艦で、50〜90機のF-35Cを容易に搭載でき、太平洋地域におけるF-35による新時代を開く可能性がある。米国と地域の同盟国は、台湾海峡や南シナ海をカバーする数百機の第5世代戦闘機を展開できるのだ。 

これは興味深い問題を提起している。中国が地域の緊張を高める場合、米国と同盟国は海上および空中戦力をそれに応じて増加させる可能性がある。最も直接的な方法は、米海軍が太平洋で通常の2つの航空母艦打撃群を、3つあるいは5つに増加させることである。 

これは明確で単純な答えのように思える。地域に5隻の航空母艦を配備することにより、米国と日本は海上から発進するF-35の共同部隊を形成し、第5世代戦闘機による空中ネットワークを構築し、台湾と南シナ海周辺の危険地帯を取り囲むことができる。

中共の海上および空中戦力による地域緊張のエスカレーションに対応して、空母打撃群の地域配備を増加させることは、米国防総省と米海軍が簡単な解決策として考えている可能性が高い。

現在、中共の第5世代艦載機J-31は、まだ検証段階にあり、陸上配備型第5世代戦闘機J-20は約100機の規模に過ぎない。中共はまだ海上で発進できる現役の第5世代機を持っていない。中国と台湾の距離は約100マイルと非常に近いにもかかわらず、米国の強力な海上発進空中戦力と台湾本島に密集した防空火力の存在により、中共軍が台湾侵攻に当たって、空中優位を構築するのは困難である。

米海軍は現在、定期的に2隻の航空母艦による戦争演習を行い、空中戦力の投射能力を倍増させる大規模な協調空襲を実施している。米国が太平洋地域に3隻から5隻の航空母艦打撃群を同時に配備することを選択した場合、空中戦闘規模を史上の未曾有レベルに拡大することができる。これは、米海軍が発信している警告のメッセージである可能性が高い。

フィリピンと米国が最近南シナ海で行った大規模な演習に、中共軍は敏感に反応したようだ。中国南部戦区の中共軍は南シナ海で「定例」の巡回を行い、飛行機と船を派遣して演習の監視と追跡をしていた。これは米国とフィリピンが中共の脅威に対してさらに密接に協力するきっかけとなるだろう。

2月19日、米国の戦略爆撃機B-52とフィリピン空軍の共同巡回をふりかえって考えてみると、中共メディアはこれを「政治ショー」と呼び、軍事的意義はないと主張していたが、米軍関係者は、この共同巡回が非常に重要であり、過去にこのような記憶はないと述べている。

重要なのは、B-52が核爆弾の搭載が可能かどうかではなく、その優れたセンサー装置が長年にわたって海上監視、訓練、作戦行動に使用されてきたことである。B-52は対艦ミサイルを発射でき、しかも戦闘機よりも多くの弾薬を搭載できる。敵の局部的な防空システムを麻痺させるために、地上攻撃用の遠距離武器を一斉発射することもできるのだ。もし2、3機のB-52が異なる方向から作戦エリアに接近すれば、敵の防御システムにさらなる破壊力を与えることになる。

中共は、この共同パトロールを友好的な警告と見なすべきである。フィリピンのような相手との対峙でも、米軍の全面的な反撃に直面することを意味し、ましてや台湾に手を出す試みに至っては言うまでも無いことだ。

この記事で述べられている見解は著者の意見であり、必ずしも大紀元の見解を反映するものではありません。
夏洛山
大紀元時報(中国語)記者。長い従軍経験があり、軍事番組「Military Focus」を主宰する。