救援物資を転売したか? 商店で購入した鍋が「被災地への寄贈品だった」=中国 河南

2024/02/12
更新: 2024/02/12

「2021年河南洪水」が発生したのは3年前、2021年7月17日以降に被害が拡大した。河南省鄭州市などを水没させるなどの、甚大な被害をもたらした洪水であった。

洪水の原因について、中共当局は今も「千年に一度の豪雨によるものだ」と強調している。

しかし、洪水被害を防止できなかった当局が、その政治的責任を回避するため「政府の不作為や無知が招いた人災を、自然災害のせいにする」のが中共の常套手段であることは以前から知られている。

中共政府の公式発表によると「この洪水による死者・行方不明者は398人」であるという。

しかし、洪水に襲われた鄭州市内では、水没した幹線道路のトンネル内だけでも、車に乗ったまま救助されず死亡した人は膨大な数に上るとされている。そのため本当の死者数は、公式発表を遥かに上回るものと見られている。

甚大な被害を出した約3年前の洪水災害「2021年河南洪水」に関連して、このほど、被災地へ寄贈されたはずの救援物資が「どこかから横流しされ、売りに出されていた」事実がネットユーザーの投稿で発覚した。

今月6日、ある市民が河南省安陽市の商店で「鍋」を購入した。販売価格は60元(日本円で約1200円)である。ところがその鍋は、3年前に河南省の被災地へ贈られた「善意の寄付品」であることが分かった。そのことを示す文字「周村信永電器廠 捐贈河南災区 202107」が、鍋に記載されていたのだ。

一度は被災民の手元に届き、その後に手放されて市場に出回ったのならば、そうした流通も致し方ないだろう。しかし、市民が商店で購入したその鍋は、もちろん使用された形跡のない「新品」だった。

だとすると、やはり被災地に寄贈されたはずの救援物資が、はじめから抜き取られて、転売されていた可能性が高い。

このことに関連する動画はネットに流出したが、後に当局によって削除されている。動画は削除されたが、動画からスクリーンショットした画像は今も見ることができる。

中国メディア「大皖新聞」の7日付は、当局者の話として「災害の際に寄せられた救援物資の分配や配布は、緊急管理部門が担当している」と報じた。しかし、現地の緊急管理部門の責任者は「災害救援物資のなかに鍋の項目はない。この件については、わからない」と回答している。

いっぽう、鍋に記載された文字にある工場「周村信永電器廠」の経営者夫婦に確認したところ、この鍋は「確かに、この工場から被災地へ寄付されたものである」ことの確認が取れている。

この工場は、2021年に河南省で起きた洪水災害の際、被災者に使ってもらうため、自社工場で生産した鍋を数10個、無償で寄付した。寄付した日付は同年7月20日、総価値は3000元(約6.2万円)未満だったという。

工場側も「なぜ寄付したはずの鍋が、街の商店で販売されていたのか(不思議だ)」と首をかしげるばかりだ。

写真は2021年7月21日、河南省鄭州市を襲った豪雨で水没したトンネルの車。洪水は、運転者が車から脱出する暇もなく、あっという間にトンネルを襲った。 (STR/AFP via Getty Images)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。