相次ぐ鉱山事故 「安全性よりも、利益追求を優先した結果」か=中国

2024/01/17
更新: 2024/01/17

中国は、世界のなかで「最も鉱山事故が多い国」である。

今月12日、河南省平頂山市の炭鉱でガス爆発事故が起きた。爆発当時、坑内には425人が入って作業していた。14日の時点で、当局は「この事故の死者数は、少なくとも13人に上る」と発表している。

いっぽう、ネット上では「(頂山市の炭鉱事故による)本当の死者数は30人以上だ。どうやって知ったかは(私に)聞くな」と明かす現地のユーザーもいる。

このほか「公式に発表される死者数は、最終的には20人を超えることはないだろう。なぜなら、20人を超えると、事故レベルが変わるからだ」といった、当局の隠蔽体制を指摘する声もある。当局の意図的な操作によって、犠牲者の数が「19人以下に抑えられる」というのだ。

さらには「なぜ毎年、こうも鉱山事故が起きるのか。多くの人が亡くなっているのに、政府は何している」など、中共政府への非難の声も広がっている。

事故のあと、生存者の1人は中国メディア対して「あの時、仲間の『逃げろ!』の一声がなければ、私も死んでいたと思う。あと3分遅かったら(死んでいた)」と、事故当時の恐ろしさを振り返った。

今後の職業について尋ねられたとき、この生存者は「もう鉱山の仕事はしない。家族も皆、反対している」と話した。

中国の炭鉱労働者について、その安全は昔から効果的に守られてこなかった。

炭鉱労働者の安全を守るための法令や規則はあるが、現場では、全くの「お飾り」である。作業員の安全性もふくめて、非常に劣悪な環境下で行われる坑内作業により、重大な死亡事故は相次いでいる。

今月7日と8日にも、山西省の鉱山で事故が相次いで発生した。それぞれの事故で、1人ずつの死者が出ている。

不完全な統計によると、2022年には中国で少なくとも168件の炭鉱事故が発生し、245人が死亡した。

2023年には、9月24日時点で確認できた炭鉱事故は57件、死者数は160人を超える。このなかでも、突出して事故が多いのは山西省である。以下、2023年に起きた事例を、列挙する。

2023年2月22日、内モンゴル自治区アルシャー左旗の炭鉱で崩落事故が発生し、53人が死亡した。

2023年9月、貴州省で起きた炭鉱火災で、少なくとも16人が死亡した。

2023年11月には、同じく貴州省の別の炭鉱で事故が発生し、11人が死亡した。

2023年11月16日、山西省呂梁市の炭鉱で、26人が死亡する火災事故が発生した。

2023年11月28日、黒竜江省双鴨山市の炭鉱で、11人が死亡する事故が発生した。

2023年12月、黒竜江省鶏西市の郊外で起きた鉱山事故では12人が死亡した。

上に挙げたデータは、いずれも中共当局が公表した数字である。隠蔽体質の当局が公表していない事故について、外部が知ることは難しい。

ドイツ国営の国際放送局 「ドイチェ・ヴェレ」 2023年2月24日付は、中国で炭鉱事故が頻発する原因は「安全性よりも、利益を重視した結果だ」と指摘している。

さらに「ドイチェ・ヴェレ」 は、中国鉱山安全監査局の統計データを引用して「2022年の鉱山事故は、2021年に比べて倍増しており、死者数は245人に上る」と報じた。

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李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。