ヘロインの数百倍強い“中国製”オピオイド「ニタゼン」 英国で54人が死亡

2023/12/14
更新: 2023/12/14

英国家犯罪対策庁(NCA)によれば、中国で製造された中毒性の高い違法薬物「ニタゼン」により、英国では過去6か月で54人が死亡した。米国で多くの死者を出している中国産のフェンタニルを念頭に、国境警備隊や国際的なパートナーと緊密に協力し、英国内へのニタゼン類の供給を阻止すると表明した。

ニタゼンはヘロインの何百倍も強い合成オピオイドで、オンラインで購入した処方薬からも検出されている。

英国の捜査当局は、非常に強力な合成ストリート・ドラッグが英国に流入し、ニタゼン類を含むベンゾジアゼピン錠剤のサンプル20錠が、一般市民によってオンラインで購入されていると警告した。

これを受けてウェールズ公衆衛生局も警告を発している。

捜査当局によれば、今年10月までに同プロジェクトに送られたストリートドラッグや医薬品を含む薬物サンプルのうち、計50件からニタゼン類が検出されたという。2021年の8件、2022年の30件から大幅な増加を見せた。

ニタゼンは1950年代に初めて開発されたが、非常に強力なため、医薬品として認可されたことはない。

また、犯罪ルートで英国に密輸されたニタゼンは、安価で中毒性があるため、麻薬取引ギャングによってヘロインと混合されることが多いという。

NCAはエポックタイムズへの声明で次のように述べた。

「ニタゼンは中国やインドなどで製造されている。英国におけるニタゼン類の普及率は低いと判断するが、ニタゼン類は錠剤の形で飲み込むことができる他、注射、吸入も可能だ。しかし、ほとんどの場合、ニタゼンはヘロインを強化するために使用されていると思われる。多くの場合、使用者は自分が使用しているヘロインに不純物が混入されていることに気づいていない可能性がある」

中国は、2018年以来米国で25万人以上の命を奪ったフェンタニルの製造に大きな役割を果たしているとも指摘される。この薬物は2019年以降、米国の若者の死因トップとなっている。

米国当局によれば、中国は依然として前駆体化学物質の主要な供給源であり、それがメキシコの麻薬カルテルによってフェンタニルなどの合成オピオイドに加工・製造され、米国に持ち込まれるという。一部のコメンテーターは、この薬物が中国による「化学戦争」の一形態として使用されていると指摘している。