米中の戦略的競争が激化し、欧米諸国のリスク回避政策が進むにつれ、ますます多くの外資が中国から撤退しており、 東南アジアが外資の新たな選択肢となっている。
12月2日付の「日経アジア」によると、政治的安定性と巨大な市場潜在力により、東南アジア諸国は、特に米国と中国からの外国資本の注目を集めている。東南アジア諸国では、2022年の外国直接投資総額は過去最高の2225億米ドル(約32兆5千億円)に達した。
米国サウスカロライナ大学エイケン校ビジネススクールの謝田教授も、同じ意見を示している。
「中国が2001年に世界貿易機関(WTO)に加盟した後、国際資本が中国市場に流入し、欧米諸国も中国に市場を開放した。これによって中国は20年にわたる経済成長の恩恵を受けた。現在、このような恩恵は無くなり、労働力価格が上昇し、生態環境、社会環境、投資環境も悪化している」
「さらに、中国共産党(中共)による私企業や外資企業への圧迫と敵視、中共政権の国際的な逆行行為により、国際資本が中国から流出し、東南アジアに入っている」
2017~22年にかけて米中関係が悪化している間に、東南アジア11か国が誘致した海外直接投資は、40%も上昇した。
台湾民間シンクタンク・台湾経済研究院の邱達生研究員は、米中貿易緊張の継続につれ、脱中国化という動きは続くだろうと分析した。
邱研究員は香港のケースを上げ、中国経済は香港の株式市場を通じて外の世界とつながっているが、2018年に香港ハンセン指数が3万ポイントに達した後、明らかに弱気トレンドに入ったと指摘する。
邱研究員によると「今回、国際的な投資資金がアジアの株式市場に流入しているにもかかわらず、香港の株式市場だけがその流れから外れている」という。
謝田氏は、「資本の流れはすでにシフトし始めている」
「米国が中国に課した関税によって、すでにベトナムで生産を始めることができるのに、あえて生産ラインを中国に戻して高い関税を支払って生産しようとする者はいない」と述べた。
サプライチェーンの対外移転の流れを受け、多くの中国企業も、中国本土を離れて東南アジアに投資するため、調整のペースを速めている。
マレーシアは今年7月、中国自動車大手の浙江吉利集団がマレーシア西部のペラ州に100億米ドル(約1兆4541億円)を投資し、自動車生産基地を建設すると発表した。
中国本土の企業でさえ、東南アジアへ投資する方が中国への投資よりも費用対効果が高く、利益も大きいと感じている。
その理由について、邱達生氏は「外国人投資家と同じ理由だ。彼らは自信を失い、別のサプライチェーンを探しているのだ。中国企業は外国人投資家とともに、より適切な国にサプライチェーンを移転させている」と語った。
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