火鍋(フォグオ、ひなべ)は中国式の鍋料理で、今では日本の中華レストランでもおなじみのメニューになっている。その火鍋が今、よからぬ意味で「火」が着いて、話題になっているようだ。
今月7日、江蘇省常州市の飲食店で、注文した火鍋料理のスープの中から「注文していない麺のカス」が出てきた。その様子を映した動画が、SNSで拡散されている。
撮影した客は「前の客が残した鍋スープを、再び出したのではないか」と疑っている。
これについて店側は「鍋をキレイに洗わなかったから、たまたま残留していただけだ」と言い訳している。そうであっても衛生上の問題があるはずだが、店側は「再利用」については否定した。
挙句の果てには「(スープ)の再利用ではない!」と逆ギレ気味に強調したうえで、客に謝罪するどころか「調査中だ」という始末だ。
関連の動画をめぐり、ネット上では「こんなこと(中国では)今に始まったことではない。よくあることさ」といった、ゾッとするようなコメントが多数寄せられている。
「私も同じ経験あり。注文していない具のカスが入ってたよ」
「火鍋の店で、鍋スープの再使用なんてのは、ニュースにもならない『常識』だね」
そのほか「前の客の鍋スープを再利用したのでなければ、地溝油(下水道の廃油を集めて原料にした油)を使っているに決まっている」など、ネットユーザーの議論は熱を帯びるばかりだ。
「これこそ、中国にしかない特色料理だ」のコメントは、習近平氏の名言(迷言?)である「中国の特色ある社会主義」をもじったもの。「ネズミの頭が出なかっただけでも、ラッキーと思え」は、近ごろ相次ぐ「ネズミの頭」が料理から出てくる事例をふまえた、皮肉たっぷりのコメントである。
「倫理」という言葉は、中国語の語彙にも同じ漢字をつかって存在する言葉である。しかし、昨今の中国では「食の倫理」「医の倫理」「商売上の倫理」など、全ての倫理観が人間の心から消えた。
食事客からのクレームに対して、店側は「没洗干净(よく洗っていなかったから)」と言い訳をする。しかし、客への謝罪の言葉はなかった。鍋から異物が出てきたという直接の問題だけでなく、人間として重要な部分が欠落していると言うしかない。
(客のクレームに対して、店側は「没洗干净(よく洗っていなかったから)」と言い訳をする。しかし、客への謝罪の言葉はない)
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