なぜ、このようなことになったのか、周辺の事情は全く分からない。今月6日、福建省アモイ市内の道路上に最高額紙幣である100元札(約2,000円)が大量に「出現」した。
日本でいえば「1万円札」が路上に広がったようなものである。その紙幣を見るや、現場に居合わせた市民らが一斉に群がって拾い、もちろん警察に届けるのではなく、各自の懐へ入れてくすねていく「事件」が発生した。
SNSに投稿された現場動画のなかには、目を血走らせて、地面に散らばるお札にたかる市民たちの姿があった。お金を撒いた人物については、動画からは確認できない。
大量のお札が、なぜ街中に散乱していたのか。このことについて、動画撮影者は「誰かがうっかり落としたのか、それとも故意にばら撒いたのか、わからない」と話している。また、大量にあった紙幣は「ものの1分で、全て奪い去られた」という。
中国メディアによると、この「お札ばらまき事件」は現在、地元警察が捜査中だという。
(路上に大量の紙幣が「落ちている」現場で、拾い集める市民たち)
この謎めいた事件は、ネット上で激しい議論を呼んだ。
案の定「そんな場面に出くわしたい。私も拾いたいから」と悔しがるコメントが多く寄せられている。しかし、その一方で「他人のお金をくすねるのは、道徳的ではない」という理性的な声もあったのが、せめてもの救いである。
中国で新型コロナのパンデミックが大流行していた頃、高層ビルの屋上から大量の紙幣がばらまかれる騒ぎがあった。
また以前に、広東省広州市で、車を運転して歩行者などを無差別にはねる社会報復事件を起こした犯人も、犯行の直後、逮捕される前に車から降りて高額紙幣を路上にばら撒いていた。
いずれのケースも、その理由などの詳細は不明である。あるいは、お金をバラまくという行為を通じて「金なんか、何の役にも立たない」と自暴自棄になり、自身が人生や社会に対して絶望していることを表現しているのだろうか。
今回の騒ぎも、昨今の中国社会の荒廃ぶりによって、心に大きな傷を負った人がわざと撒いたのだろうか。あるいは、誰かがうっかり落としただけなのだろうか。謎は深まるばかりだ。
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