預金を全額凍結された河南省の地方銀行の預金者ら約百人は今月21日、再度河南省の高速道路で横断幕を掲げて預金の返却を求めた。しかし、地元警察に取り囲まれて暴力を振るわれた上、全員逮捕されたことがわかった。
21日午前6時頃(現地時間)、百人以上の預金者は危険を冒して河南省商丘市の高速道路に上がり、道路わきで横断幕を広げたり、スローガンを叫ぶなどして預金を返すよう求め、デモ行進を行った。
抗議現場を捉えた動画のなかには「河南銀行、河南政府、私の預金を返せ」などと書かれた大きな横断幕を、一列に並んだ人たちが掲げるシーンもあった。
約600日近く「預金を引き出せない」
預金を凍結された被害者の陳さんは、NTD新唐人テレビの取材に応じて次のように明かした。
「今回は百人以上の被害者が抗議に参加したが、全員また逮捕されてしまった。21日朝、黒服を着た正体不明の男たちが抗議する預金者に暴行を加えたうえ、その横断幕を使って抗議者の首を絞めた。現場では抗議者2人が救急車で運ばれていった。その2人とは、未だに連絡が取れない」
この日、抗議活動に参加した預金者は全員逮捕され、それぞれの地元政府の「陳情民阻止要員」に引き渡されたという。
当局は、抗議をする預金者が、航空券や列車の切符を購入できないようにしている。そのため、預金者の一人は「私たちは徒歩で河南省に行くしかなかった。ようやくここに辿り着いた後、抗議活動を行った」と明かした。
(10月21日、預金を凍結された河南省の地方銀行の預金者ら約百人は、横断幕を広げて凍結された預金の返却を求めたが、地元警察に取り囲まれて暴力を振るわれた上、全員逮捕されたことがわかった。NTD新唐人テレビの報道番組より)
「野菜クズを拾って、食いつなぐ」
当局による厳しい弾圧のなか、それでも抗議をする原因について、預金者の一人は「私たちは預金を凍結されたため、生活が窮乏しているからだ」と明かす。
なかには600日間、自分の預金を一銭も引き出せない人もいる。今は市場で捨てられる菜っ葉など、野菜のクズを拾って食いつなぐ人さえいるという。
また、預金を引き出せないために、ガンの母親の治療費がなく「母親が死亡するのを、ただ見ているしかなかった」という人もいる。
預金凍結の被害を受けた人のなかには、中小企業の経営者も多い。「預金を引き出せなくなったため、企業が資金難に陥った。そのために倒産する企業も少なくない」という。
当局からの容赦ない弾圧
河南省と安徽省の複数の銀行は昨年4月中旬以降、顧客の全ての預金を凍結した。預金者が受けた被害の規模は400億元(約8172億円)。影響は約40万人に及んだ。
この問題を巡り、これまでにもたびたび預金者が集まって抗議活動を行ってきた。しかし地元当局は、抗議者への暴力をふくむ逮捕や不法監禁、抗議活動の妨害など、容赦ない弾圧を行っている。
中国のSNS上に拡散された抗議現場とみられる動画の中には、当局が手配したとみられる男たちが、こん棒を振るって殴りつけ、妊婦や体の不自由な抗議者にも容赦なく、無差別に暴行している場面があった。
被害に遭った預金者によると、河南省政府は他省の公安部門に対して「(預金を凍結された)預金者が河南省へ行って預金を引き出すのを阻止するよう求める指示を出していた」という。
預金者は、自分の車の中に追跡装置が付けられたり、自宅前に「見張り要員」が待ち伏せたりしている。なかには警察から脅迫電話がかかってくるケースもあるという。
預金を凍結される被害を受けた孫さんは、銀行保険監督管理委員会(銀保監会)に何度も掛け合ってきたが「いくら助けを求めても、全く対応してもらえない」という。
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