科学者たちの反応
シュミット氏のブログ記事は「根拠がなく否定的だ」と、ジョージア工科大学地球大気科学部の元学部長ジュディス・カリー氏は指摘する。同氏は新しい論文には関与していない。
「シュミット氏やマン氏らによる対応、特にこの論文の編集議論に関する情報開示請求は、気候変動に関する科学的な対話だけでなく公的な対話もコントロールしようとする彼らの継続的な試みを反映している。これは、気候科学にダメージを与えるものだ」
『Climate Uncertainty and Risk(仮邦訳:気候の不確実性とリスク)』の著者であるカリー氏は、「IPCCや多くの気候科学者によって隠蔽されている重要な問題」を提起していると述べた。
特に、20世紀の気候記録の解釈の仕方に大きな影響を与える、と彼女は言う。
「さらに、都市のヒートアイランド現象が地球の地温に及ぼす影響も未解決のままであり、スーン氏たちの論文でも強調されている」と述べ、この論文を「気候科学文献への有益な貢献だ」と評価した。
論文の主執筆者であり、環境研究・地球科学センター(CERES)の主要メンバーであるスーン氏は、CERESの科学者たちによる3つの新しい論文は、強力な既得権益に対する大きな脅威であると説明した。
「30年以上もの間、国連 IPCC 報告書による主張と結論は、疑問の余地もなく、議論の余地もなく、頂点に君臨してきた」「しかし、私たちが発表した最新の3つの論文は、そのような主張が科学的に空虚であることを示している」
「我々の結果はIPCCの脆弱な基盤を揺るがすものであり、シュミット氏やマン氏のような活動家が即座に拒否反応を示したり、あからさまに文句を言ったりするのはこのためである」とスーン氏は続けた。
スーン氏と新しい論文に関わった他の科学者たちは、2021年に太陽活動が観測されたすべての温暖化を説明できることを示す別の画期的な研究を発表した。
複雑な科学研究としては極めて異例のことだが、この論文は発表以来5万5千回以上もダウンロードされている。
「真実を求める人々によるこの論文への注目度の高さこそが、シュミット氏とマン氏が心配している本当の脅威なのかもしれない」とスーン氏は指摘した。CERESはRealClimate.orgによる組織的な偽情報キャンペーンに反論する記事も掲載している。
前出のハッパー氏は、「北半球の地表面温暖化の検出と帰属」と題されたスーン氏と他の著者による新しい論文は、実に重要であると指摘した。
この2つの重要かつ妥当な点は、1850年以降にどれだけの温暖化があったのか、そしてそのうちのどれだけが人間活動によるものなのかをめぐって「大きな不確実性」があるということだ、と彼は言う。
「この論文は、都市部の記録に温暖化のバイアスがかかっているという非常に強力な証拠を提示している」と、ハッパー氏はエポックタイムズに語った。
「都市部と農村部の温暖化は、CO2やその他の温室効果ガスの濃度上昇によって引き起こされるものではない。それは人間によって引き起こされているが、破滅的なネットゼロ政策によって元に戻すことはできない」
ハッパー氏は、観測されている温暖化に対して、人間のCO2排出が「比較的小さな寄与」をしていると考えているが、火山、太陽放射照度、温室効果ガス排出など、さまざまな要因が温暖化にどの程度影響しているかを判断するには、入手可能なデータでは不十分であるという論文の結論に同意した。
人気ウェブサイト『Climate Depot』の編集者マーク・モラノ氏は、エポックタイムズに、新しい論文に対する攻撃的な反応は、国連が支持するシナリオに対する異論を封じ込めるための取り組みだと語った。
「気候変動の権威層は、新型コロナで見られたのと同じ強圧的な戦術を使っている。公式のシナリオに科学的な異議を唱えれば、その意見は排除され、取り消され、検閲され、沈黙させられる」
実際、国連やその他の強力なグループは、この問題に関する他の見解を封じ込めようと積極的に動いている。メリッサ・フレミング国連事務次長(グローバル・コミュニケーション担当)は、気候変動に関するいわゆる「偽情報」との戦いを繰り広げている。
昨年の世界経済フォーラムのイベントで、フレミング氏は「科学はわれわれのものだ」と主張し、国連とグーグルが提携して、気候問題に関する国連の見解に反する情報をネット上で抑圧していると強調した。
気候変動否定派のコミュニティにおける代表的なコミュニケーターの一人であるモラノ氏は、こう警鐘を鳴らした。
「科学の研究が『科学』だけを支持するように歪められているのを目の当たりにしている」
IPCCは、この新しい論文についてのコメントを拒否した。
「IPCCは、個々の研究やIPCC評価報告書の範囲外の事柄についてコメントは控える」と、国連機関のメディアチームはエポックタイムズに電子メールで語った。「IPCCの各作業部会は、評価プロセスの最初に、現在の評価報告書に含まれる文献が科学雑誌に掲載される期限を設定している」
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