アメリカ社会 「金と権力のために、科学的現実が、欠陥のあるモデリングと誇張されたレトリックによってかき消されている」

【プレミアム報道】「気候緊急事態は存在しない」気象学者らが語る真実(1)

2023/10/06
更新: 2023/11/13

「気候に緊急事態はない。そして、世界のエリートたちが押しつける警戒論的なメッセージは、純粋に政治的なものである」。1609人の科学者や専門家が、世界気候情報グループ(CLINTEL)の 「世界気候宣言」に署名した。

世界気候宣言の冒頭には「気候科学は政治的でなく、気候政策はより科学的であるべきだ」と書かれている。「科学者たちは、地球温暖化予測における不確実性や誇張したものを率直に取り上げるべきだ。一方、政治家たちは、自分たちの政策手段がもたらす想像上の利益だけでなく、実際のコストも冷静に計算すべきである」

このグループは、地球物理学の名誉教授であるグウス・ベルクハウト氏と科学ジャーナリストのマルセル・クロク氏によって2019年に設立された独立した「気候監視機関」だ。そのウェブサイトによると、組織の目的は「気候変動の原因と影響、および気候政策の影響に関する知識と理解を深める」ことだ。そして、事実を客観的に見つめ、気候変動と気候政策に関する科学的研究に従事することによって、それを実現していく。

この宣言の署名には、ノーベル賞受賞者や理論物理学者、気象学者、教授、環境科学者など、世界中の科学者たちが名を連ねている。エポックタイムズが、選ばれた数人に対して、茶番だとも言われている「気候緊急事態」に署名した理由を尋ねたところ、彼らはみな「真実だからだ」と答えた。

「私がこの宣言に署名したのは、気候が科学的に研究されなくなり、むしろ、信仰の対象となっているからだ」と、ラトガース大学の機械・航空宇宙工学の著名な教授であるヘイム・ベナロヤ氏は、エポックタイムズに語った。

引退した物理学者で、ウェブサイト「 Science Under Attack」の著者であるラルフ・アレクサンダー氏も「地球は1850年頃の小氷河期後、華氏2度ほど温暖化している。しかし、この数千年の間に地球はもっと温暖化しているのだから、緊急事態でも危機でもない」と述べた。

「いわゆる中世温暖期(1千年前後が中心)、ローマ温暖期(現在よりずっと寒いイギリスでブドウや柑橘類が栽培されていた)、そして完新世初期(最後の氷河期が終わった後)の平均気温が高かったという証拠はたくさんある」

気候緊急事態は「フィクション」だ、と彼は断言した。

1609人の科学者と専門家がCLINTELの「世界気候宣言」に署名(Epoch Times)

「気候緊急事態」

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)によると、地球温暖化の原因は人間の活動とその結果として生じる温室効果ガスだ。IPCCは具体例を挙げ、1750年の大気中の二酸化炭素(CO2)濃度は280ppmだったが、現在の大気中のCO2濃度は420ppmとなり、温度に影響を与えていると主張している。

IPCCは、「気候変動に関連する科学」を評価するための国連機関であり、政策立案者が気候政策を策定するのを支援するために、世界気象機関と国連環境計画によって1988年に設立された。

理論物理学者でコンサルティング気象学者の資格を持つエドウィン・ベリー氏は、「IPCCの中心的な理論の1つは、1750年以降の自然由来のCO2は280ppmと一定であり、140ppmの増加は人為的CO2が原因であるというものだ」と、エポックタイムズに語った。

「このIPCC理論によると、今日のCO2総量の33%は人為的なCO2である」

従ってIPCCは「気温を下げるには、人為的なCO2を削減する必要がある」述べている。こうして現在、世界の交通機関を強制的に電気自動車に移行させ、化石燃料から脱却し、人為的なCO2の原因となるすべての活動を削減しようとする法律家や気候活動家の動きがある。

ベリー氏によれば、この前提には問題があるという。

「CO2は大気中に排出され、そのままそこに留まるというのが一般的な認識で、ただ蓄積されるだけだと思われている。しかし、そうではないのだ」

彼は、CO2の流れについて説明した。「流れ」とは、炭素がある炭素貯蔵庫から別の貯蔵庫へと移動することを意味し、つまり光合成、食事、そして呼吸によって炭素が移動することを指す。「IPCCによればCO2のターンオーバーは3年半(分子は約3年半大気中に滞留)であるため、140ppmの一定レベルを保つには、年間40ppmのCO2の流入が必要だ」とベリー氏は説明した。

「280ppmのレベルなら、その2倍の80ppmになる。IPCC理論では、人為的なCO2の流入が全体の33%であるとしている。ところが、そのIPCCでさえ、『いや、人為的CO2流入は全体流入量の約5%から7%だ』言っている」と彼は語った。

したがって、大気中に流入する人為的CO2の不足を補うために、IPCCは、3年半のターンオーバーの代わりに、人為的CO2は数百年から数千年も大気中に滞留すると主張している。

「IPCCは、人為的CO2はどこか違っていて、自然由来のCO2ほど速くは流出しないのだと言っている」とベリー氏。「でもそれは違う。人為的CO2と自然由来のCO2は同じなのだ」

「人為的なCO2と自然由来のCO2分子が同一であれば、それらの流出時間は同一でなければならない。そのため何百年、何千年もの間、大気中に滞留しているという考えは間違っている」

ベリー氏は、それは人間ではなく自然がCO2の増加を引き起こしたことを意味すると述べ、その結果、人為的CO2を削減しようとする試みは的外れなものだとした。

「人為的CO2がCO2の増加を引き起こしているという主張は、歴史上最大の妄想であり、最も費用のかかる詐欺かもしれない」とベリー氏は言う。

彼は、科学においては、科学的方法でデータを裏付けすることはでき、間違っていると証明することはできても、理論が100%真実である証明はできないと指摘した。一例を挙げて、ベリー氏は、アイザック・ニュートンの重力の法則は長い間卓越した理論であったが、その後、アインシュタインがニュートン理論を反証し、修正したと述べた。

2016年11月3日、内モンゴル自治区の製鉄所から上がる煙 (Kevin Frayer/Getty Images)

「科学的方法に戻ろう。IPCCは1つの理論を提案した。私たちが間違っていることを証明できれば、我々の勝ちだ。そして私は、彼らの理論が間違っていることを証明した」とベリー氏は語る。

ベリー氏は研究をさらに一歩進め、IPCC独自の炭素循環データを使用して人為的炭素循環量を計算した。

「同じモデルによる予測によれば、人間が出している濃度は140ppmとはならず、30ppm程度だ。つまり、IPCCは本質的に間違っているのだ」とベリー氏。

IPCCのデータを引用して、CO2に対する自然の責任は390ppm程度であり、人間は140ppmでなく、30ppm程度の責任しかないと述べた。

「では、IPCCのデータは正しいのであろうか? 私は『わからない』と回答する。IPCCはまさにこのデータを使って世界を欺いてきたのだから、わざわざ知る必要はない。私は、彼らのデータを使って、彼らの理論が間違っていることを示したいのだ」とベリー氏は語った。

「IPCCは、科学的な機関として設立されたわけではない」

「彼らは、政治団体として設立され、CO2が問題を引き起こしていることをみんなに納得させるために設立された」と彼は語る。

なぜ「気候非常事態」を宣言する動きがあるのかと尋ねたとき、ベリー氏は、すべて金とコントロールのためだと答えた。「それが唯一の本当の理由だ。気候の緊急事態はない」

ベリー氏は、彼のすべての研究、および彼の理論を反証しようとする同僚からの研究と通信を一般に公開している。

2018年10月1日に韓国の仁川で開催されたIPCC第48回会合に出席する人々 (Photo credit should read JUNG YEON-JE/AFP via Getty Images)

(つづく) 

エポックタイムズ記者。エネルギー政策や政治問題を中心にさまざまなトピックを担当。医療業界における検閲や政府との癒着に関する取材も行う。ジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせる前は、米空軍で軍用機J-STARSの空挺作戦技術者として活躍。
関連特集: アメリカ社会