英国議会の調査員らが中国のためにスパイ活動をした容疑で逮捕されていたことを巡り、豪州の影のサイバーセキュリティ相ジェームズ・パターソン氏は11日、豪州議会にも「中国国籍以外のスパイ」が潜り込んでいる可能性が高いと危機感を示した。
英メディアは10日、中国のためにスパイ行為をした公務秘密法違反の疑いで、ロンドン警視庁が英議会の調査担当者ら2人を逮捕していたと報じた。このうち1人は、外交政策に携わる議員や下院外交委員長らと仕事をしていたという。
パターソン氏はキャンベラのメディアに「残念ながら、豪州でこのようなことが起こるリスクは非常に高い」と警告した。
その理由として「ここ国会議事堂で働くスタッフの大半は、セキュリティの審査や承認を受けていない。政府の後方支援者や野党、影の大臣も含めて、セキュリティ審査を受ける必要はない。審査を受けるのは閣僚スタッフだけだ」と述べた。
こうした懸念を踏まえて、パターソン氏は「情報安全保障委員会やAUKUS(米英豪3か国の安保協力の枠組み)を監督する法定国防委員会のような機密性の高い委員会に所属する議員については、セキュリティ審査を実施するよう求める」とした。
さらに中国の出身者やルーツを持つ人以外もスパイになり得る可能性があると指摘。
「国会議員が知ることができる機密情報は、外国の諜報機関にとって非常に需要の高いものだ。彼らはできる限り何でも得ようしている」と危機感をあらわにした。
「いかなる干渉も容認しない」
英議会の調査員らの逮捕を受けて、英議員らも中国に強い懸念を示している。
スナク英首相は10日、主要20か国・地域(G20)首脳会議が開かれたインド・ニューデリーで、記者団に「英国の議会制民主主義への干渉に対する非常に強い懸念であり、全く容認できない」と発言した。
リズ・トラス元首相も、中国を「自由と民主主義に対する世界最大の脅威」だと位置づけ、同国を「英国への脅威」として指定するよう政府に求めた。
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