国連高官「北朝鮮が弾圧を強め、国民が飢えている」

2023/08/30
更新: 2023/08/30

国連の人権問題担当責任者が2023年8月に発表したところによると、北朝鮮は人権への抑圧を強めており、経済状況の悪化に伴い、国内の一部では人々の絶望感が高まり、飢餓状態に陥っているという。

フォルカー・ターク国連人権高等弁務官は、2017年以来初めて開催された北朝鮮の人権に関する公開会合で、国連安全保障理事会に対し、「北朝鮮国民は以前から深刻な経済的困難と抑圧に耐えてきたが、現在はその両方に苦しんでいる様子だ」と述べた。

「我々の情報によれば、非公式の市場やその他の対応メカニズムが解体される一方で、国家の監視、逮捕、尋問、拘留に対する恐怖が増大し、人々はますます絶望的になっている」という。

北朝鮮の金正恩委員長は、新型コロナウィルスを封じ込めるために国境を閉鎖した。 パンデミックが収束する中、政府の規制はより厳しくなり、国境に無断で近づいた者は射殺するよう警備員は命じられている。国連職員を含むほとんどすべての外国人はいまだに入国を禁じられている、とターク弁務官は語った。

一方、「反動的なイデオロギーや文化」、つまり海外、特に韓国からの情報を閲覧しているのを発見された者は、最高15年の禁固刑に処されるという。 そうしたものを頒布した者は、無期懲役または死刑に処せられる。

政権は、市場や収入を得るためのその他の私的手段をほとんど閉鎖し、そうした活動をますます違法化している。

ターク弁務官は「これは、人々が自分自身とその家族を養う能力を著しく制約する」とし、 「国営経済機関の限界を考えると、多くの人々が極度の飢餓と深刻な医薬品不足に直面しているようだ」と述べた。

多くの人権侵害は、国の軍事化を直接の原因としているか、それを支えている。

「たとえば、政治犯収容所での労働、収穫物を集めるための学童の強制使用、労働を引き受け、割り当てられた物資を政府に提供することを家族に要求すること、海外労働者からの賃金の没収など、強制労働の広範な使用はすべて、国家の軍事組織と武器を製造する能力を支えている」という。

エリザベス・サルモン国連北朝鮮人権特別報告官は、北朝鮮の「軍事優先」政策は国民のための資源を減らしていると述べた。 北朝鮮の指導者たちは、国民に支出を減らすよう要求し、その資金を政権の違法な核・ミサイル開発計画に充てている。

リンダ・トーマス=グリーンフィールド米国国連大使は、52か国を代表して読み上げた声明の中で、北朝鮮政権は国内外で「残虐行為と抑圧」を行っており、それは「安保理決議に違反する北朝鮮の大量破壊兵器や弾道ミサイルの開発と表裏一体の関係にある」と述べた。

声明の国々は、国連加盟193か国すべてに対し、北朝鮮の人権と国際の平和と安全との関連性について認識を高め、「北朝鮮政府に説明責任を果たさせる」よう求めた。

北朝鮮の同盟国である中国とロシアは、人権状況は国際的な脅威ではないとして、反対の姿勢を示した。

トーマス=グリーンフィールド大使は、「抑圧と残酷さを原動力にする」北朝鮮の「戦争マシン」は、紛れもなく国際平和と安全保障の問題であると反論した。

Indo-Pacific Defence Forum