ハイテク大手に判決 中共による法輪功迫害に米企業が加担していたことが明らかに(1)

2023/08/23
更新: 2023/08/24

正義の歯車はゆっくり回ることが多いが、中国における宗教迫害への米国企業の加担という問題では、人権活動家らに言わせれば、正義の歯車はようやく速度を上げ、正しい方向に向かっているという。

米首都ワシントンD.C.の改革派たちは、中国に監視・追跡技術を販売したすべての米国企業に広範囲に影響を与える可能性があると明らかにし、12年にわたる法廷闘争が最近転機を迎えた。

先月、米国第9巡回区控訴裁判所は、テクノロジー大手のシスコシステムズと2人の元幹部が、中国共産党(中共)による法輪功学習者の特定と逮捕、拷問、処刑を支援したとして告発した訴訟について審理し、判決を下した。

この判決は、2014年に下級地方裁判所が出した、シスコの元CEO(最高経営責任者)であるジョン・チェンバース氏、および中国事業担当の元副社長であるフレディ・チャン氏に対する損害賠償請求を棄却した判決を大きく覆した。

何十年にもわたり、人権擁護活動家は、中共による政治的反体制派や宗教的少数派への弾圧、ウイグル族のイスラム教徒への大量虐殺に対する米企業の関与を厳しく追及してきた。

ニュージャージー州選出の共和党下院議員であり、議会中国問題執行委員会の議長でもあるクリス・スミス氏は、リアル・クリア・ポリティクス(RCP)に対して、「あまりにも長い間、米国で最も利益を上げている企業の多くのエリートリーダーが、中共による大量虐殺を含む極悪非道な人権侵害を手助けし、煽ってきた」と語った。

スミス氏はまた、「早く前に提起されるべきだったが、正当な理由もなく長年延期されてきた今回の訴訟は、シスコのような企業が利益のために中共および国内の重大な人権侵害や弾圧に意図的に協力し、それを見て見ぬふりをすることで、中国国民に耐え難い苦痛をもたらしてきたことを浮き彫りにした」と述べた。

シスコ社は、いかなる不正行為も否定し、訴訟の主張には根拠がないとした。しかし、米国巡回裁判所のマーシャ・バーゾン判事は、シスコ社の行為が中共による法輪功迫害のための「ほう助および煽動」に相当し、拷問を含む国際法違反において「重大な作用をもたらした」と指摘した。

スミス氏は先月、公聴会を開催し、中共の強制労働や宗教的少数派、反体制派への迫害など、米国企業の加担を詳細に検証した。

人権専門家の証言によれば、中国の赤山刑務所でミルウォーキーツール製品の製造に関わる強制労働の事件が取り上げられた。また中国が最近、台湾に対する侵略行動と軍備増強を行っていることから、他の証人も、ボーイングやレイセオンといった米国の大手防衛企業による中国政府への武器販売について証言した。

また全米バスケットボール協会(NBA)とメジャーリーグ(MLB)の中国との関係も、精査の対象となっている。元NBA選手であるカンター・フリーダム氏とボストン・セルティックス(BOS)、ニューヨーク・ニックスの元NBA選手が、証言を提出した。フリーダム氏は、中国での人権侵害について公に発言し、「チベットを解放せよ」「ウイグルを解放せよ」と書かれたスニーカーを履いていたため、2022年初めにNBAから解雇された。

NBAと提携して試合をライブ配信している中国のハイテク企業テンセントは、当時ボストン・セルティックスで活躍していたフリーダム氏が、中国の指導者習近平氏を「残忍な独裁者」と呼んだ後、セルティックスの全試合の中国ネット上での配信を急に全部引き下げた。

テンセントとMLBは2017年に、オールスターゲームやワールドシリーズを含む125試合のライブ配信を含む提携関係を発表した。

ハドソン研究所の宗教自由センターのディレクターであるニーナ・シア氏は、RCPに対して、「一部の米国企業が道徳を置き去りにし、中共の価値観を受け入れていることは憂慮すべきこと。これは中共が望むことであり、あまりにも多くの企業がそれに応じようとしている」と述べた。

2006年、スミス下院議員は、シスコが中国のいわゆる「金盾」(「グレート・ファイアウォール・オブ・チャイナ」として知られる)の構築、運用、維持に協力しているとされる法輪功学習者の主張を調査し始めた。

「金盾」は、反体制派、人権擁護者、法輪功などの弾圧されている人々を監視するために中国公安部が構築したインターネット監視システムである。

1990年代後半、中共は法輪功を共産党の支配を脅かす危険な宗教団体とみなし、法輪功を非合法化し、法輪功学習者を迫害する専門機関(610 弁公室)を設立した。 

その後、中共は法輪学習者の大量拘束、拷問、強制改宗、処刑を行い、その様子は米国務省、国連、その他世界中の多くの権威組織によって十分に記録されている。2019年、英国政府の委員会である「中国法廷」は、長年にわたって中国全土で法輪功学習者や他の囚人の大規模な強制臓器摘出が行われていたことを認定した。

(続く)