河北省保定市に位置する淶水県では、7月29日から8月1日にかけて発生した山津波(土石流)によって多くの村が呑み込まれた。
それでも現地当局は3日「我が県内で、死者は出ていない」と発表している。しかし、中国メディアの取材に応じる村民の証言が、当局の嘘を暴くことになる。
中国メディア「澎湃新聞」4日付は、淶水県のある村の被災状況について報じた。取材に応じた、ある村民(男性)は、「この村には、被災者の遺体が大量にある。水が来て4日経つが、遺体にはビニールシートが1枚かけてあるだけだ。そのシートをめくると、もとが誰であったか全くわからないほど、完全に腐乱している」と現地の悲惨な状況を明かした。この村民の親族一家も、遺体で発見されたという。
4日に淶水県の別の村に入った中国メディア「上観新聞」の記者は、廃墟と化した自宅跡地で、犠牲になった両親や親族を弔うための「冥幣」と呼ばれる紙幣(紙銭)を燃やす中年男性に出会った。今回の大災害を聞いて、出稼ぎ先の外地から村に戻ったというこの男性によると「土石流が襲って来た時、私の両親や親族は村の中にいた。みんな亡くなったよ」という。
「お父さん、お母さん、無事に旅立って(爸媽,一路走好)」。男性の泣き声と紙銭を焼く音が、廃墟と化した村に響きわたっている。
この村には、男性と同じく、家族を探して外地から駆け付けた人たちがいた。「うちの家族を見なかったか?」という質問に対し、返ってきたのは「知らない」という答えばかりだという。
また、撮影された場所や日時は不明だが、ネット上には、民間の救援隊員とみられる若い男性が怒り心頭で「くそ野郎!全部ウソじゃないか!」と政府の役人を罵倒する動画も流れている。この隊員の足元には、女性の遺体が転がっていた。
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。