「大量の腐乱死体がある」と村民が証言 現地政府は「犠牲者ゼロ」を主張=中国 河北

2023/08/06
更新: 2023/08/07

河北省保定市に位置する淶水県では、7月29日から8月1日にかけて発生した山津波(土石流)によって多くの村が呑み込まれた。

それでも現地当局は3日「我が県内で、死者は出ていない」と発表している。しかし、中国メディアの取材に応じる村民の証言が、当局の嘘を暴くことになる。

中国メディア「澎湃新聞」4日付は、淶水県のある村の被災状況について報じた。取材に応じた、ある村民(男性)は、「この村には、被災者の遺体が大量にある。水が来て4日経つが、遺体にはビニールシートが1枚かけてあるだけだ。そのシートをめくると、もとが誰であったか全くわからないほど、完全に腐乱している」と現地の悲惨な状況を明かした。この村民の親族一家も、遺体で発見されたという。

4日に淶水県の別の村に入った中国メディア「上観新聞」の記者は、廃墟と化した自宅跡地で、犠牲になった両親や親族を弔うための「冥幣」と呼ばれる紙幣(紙銭)を燃やす中年男性に出会った。今回の大災害を聞いて、出稼ぎ先の外地から村に戻ったというこの男性によると「土石流が襲って来た時、私の両親や親族は村の中にいた。みんな亡くなったよ」という。

「お父さん、お母さん、無事に旅立って(爸媽,一路走好)」。男性の泣き声と紙銭を焼く音が、廃墟と化した村に響きわたっている。

この村には、男性と同じく、家族を探して外地から駆け付けた人たちがいた。「うちの家族を見なかったか?」という質問に対し、返ってきたのは「知らない」という答えばかりだという。

 

また、撮影された場所や日時は不明だが、ネット上には、民間の救援隊員とみられる若い男性が怒り心頭で「くそ野郎!全部ウソじゃないか!」と政府の役人を罵倒する動画も流れている。この隊員の足元には、女性の遺体が転がっていた。

「犠牲者ゼロ」と嘘をつく政府を罵る、若い救援隊員。(SNS投稿動画よりスクリーンショット)

 

「県内(河北省保定市淶水県)では死者は出ていない(全県暫無人員死亡)」とする現地政府の発表を伝える中国メディア「澎湃新聞」。(同メディアよりスクリーンショット)
李凌
エポックタイムズ記者。主に中国関連報道を担当。大学では経済学を専攻。カウンセラー育成学校で心理カウンセリングも学んだ。中国の真実の姿を伝えます!
鳥飼聡
二松学舎大院博士課程修了(文学修士)。高校教師などを経て、エポックタイムズ入社。中国の文化、歴史、社会関係の記事を中心に執筆・編集しています。