カリフォルニア州の主要な米空軍基地の三方を囲む土地を購入したと報じられた農業用地取得会社が、その土地を売った農家を訴えている。
フラナリー・アソシエーツLLC社は、トラビス空軍基地周辺の土地を約8億ドル(約1144億円)で購入した。その後、5月に農家に対して5億1千万ドル(約729億3千万円)の訴訟を起こした。
カリフォルニア州選出の民主党議員ジョン・ガラメンディ氏は米メディア「NewsNation(ニュースネイション)」に対し、この訴訟は農家を経済的に破壊するための手段である可能性が高いと語った。
ガラメンディ氏によると、話を聞いた農家の中にはフラナリー社に土地を売りたくなかったが、同社が巨額のオファーを出したために売却してしまった。フラナリー社は訴訟で、農家が農場の価格を不当に高騰させるために共謀したと主張している。
脅迫の疑い
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)によると、米空軍の外国投資リスク審査オフィスは、空軍基地周辺の140物件の購入について18か月にわたる調査にもかかわらず、これらの購入に誰が資金提供しているのかを特定することができなかった。
土地の記録に基づくと、この土地はサクラメント川からフェアフィールドまでのカリフォルニア州ソラノ郡をカバーしており、空軍基地の三方に直接接する土地も含まれていると、WSJが報じた。
サラ・ドネリー氏は、フラナリー社が購入した土地に隣接するカリフォルニア州リオビスタ市の市議会議員である。同氏はフラナリー社の動機を強く疑っている。
同議員は「フラナリーグループは未知の存在。私たちの農家を訴えているという事実からして、彼らの意図は疑わしい」と述べ、「脅迫のつもりで訴えているとしか思えない」と付け加えた。
WABC-TVは同社は2018年から土地購入を開始し、2022年と2023年に購入を加速したと報じた。
スキャデン、アープス、スレート、ミーガー&フロムが代表を務めるフラナリー社は購入しなかった土地および購入した土地の過剰請求で利益を失ったと主張している。
「もし共謀者たちが独立して行動していたなら、彼らはフラナリー社と個別に売却交渉を行い、数千万ドルの利益を得ることができただろう。しかし、共謀した者たちは億単位の利益を得ようとした」 とフラナリー社の弁護団は訴状で述べた。
国家安全保障への懸念
カリフォルニア州の農家を相手取った訴訟は、中国やイランなど米国の敵対国による農地購入について米議会が懸念を強めている中で行われた。
米議会は、外国の敵対勢力がセンシティブな場所の近くの土地を購入した場合の警戒を高めている。
マイク・トンプソン下院議員 (共和党、カリフォルニア州) とマイク・ギャラガー下院議員(共和党、ウィスコンシン州)は7月12日、国家安全保障拠点、重要インフラ、農地周辺の保護を強化・拡大する法案を提出した。
トンプソン氏は声明で、「私たちの地域では国家安全保障と食糧安全保障の保護が密接に関係している。だからこそ、国家安全保障上の拠点周辺の土地を誰が所有しているのかを知ることが重要だ」と述べた。
トラビス空軍基地が位置するソラノ郡の公的記録では、フラナリー社の創業は2018年2月9日まで遡る。約5万2千エーカー、314件の土地購入がこの謎の企業と直接つながっている。
トンプソン氏の事務所は声明で、「土地購入は空軍航空機動軍団最大の拠点であるトラビス空軍基地のフェンスにまで及ぶ」と述べた。
カリフォルニア州選出のガラメンディ議員はスパイ活動について懸念を示した。
「この土地は国家の重要な安全保障プラットフォームであるトラビス空軍基地に隣接している。そのため、スパイ活動やその他の極悪な活動が行われる可能性のある地域だ。これは国の非常事態の時にトラビス空軍基地が運用できる能力に悪影響を及ぼす可能性がある」 と同議員は語った。
更に、米国上院議員は最近、国防権限法の一部として、中国、イラン、北朝鮮、ロシアからの米国農地の購入を禁止し、米国の敵対国のハイテクベンチャーに対する投資を審査する措置を承認した。
この条項は91対7の賛成多数で可決された。
リア・ジョウとロイターがこの記事に貢献した。
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